そごう・西武労組 ストライキ実施決定 31日に西武池袋本店で

大手デパート、そごう・西武の売却をめぐって、雇用などへの懸念から反発している労働組合は、8月31日にストライキを実施することを決めました。西武池袋本店の全館で営業を取りやめ、主な大手デパートのストライキは、およそ60年ぶりとなります。

業績の不振が続く、そごう・西武をめぐっては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが去年11月、アメリカの投資ファンドに売却する方針を決め、最終的な決議に向けて調整を進めていました。

これに対して、そごう・西武の労働組合は、雇用などへの懸念から反発し、8月28日に経営側に対し、ストライキの実施を通知していました。

労働組合は、その後、経営側の方針に変化が見られないとして、31日に旗艦店の西武池袋本店でストライキを実施することを決定したということです。

およそ900人の従業員が対象となり、全館で営業を取りやめます。

ストライキの実施は、主な大手デパートでは、1962年に当時の阪神百貨店で実施されて以来、およそ60年ぶりとなります。

一方、親会社のセブン&アイは、近く取締役会を開き、売却に向けた最終的な決議を行う方針で、そごう・西武の売却は、経営側と労働組合側の協議が平行線をたどったまま決定される、異例の事態となります。

セブン&アイHD「お客様などにご迷惑 大変申し訳ない」

そごう・西武の労働組合がストライキの実施を決定したことについて、親会社のセブン&アイ・ホールディングスは、「ストライキが実施され、お客様やお取引先様などにご迷惑をおかけすることになり大変申し訳なく存じます」とコメントしています。

一方でセブン&アイは、雇用の維持と事業の継続については、売却後に新しいオーナーのもとで引き続き協議を行うことが望ましいとして、早期の売却を目指す方針です。

また、今後の労使協議については「そごう・西武は今後とも労働組合との間で雇用維持や事業継続に関する団体交渉と協議を継続するとともに、当社は両者の間の協議について適切な範囲で支援や協力をしてまいります」としています。

池袋本店では約20か所の出入り口に案内掲示

西武池袋本店では、31日のストライキの実施が決まったことを受けて、30日昼すぎに、店の出入り口に、31日全館で営業を取りやめる案内が掲示されました。

案内の掲示は、1階と地下1階にあるおよそ20か所の出入り口で行われ、
▽営業の取りやめがストライキの影響によることや、
▽9月1日は営業する予定であることが、説明されていました。

このうち、大通り沿いにある北側の出入り口では、社員が案内を掲示すると、一時、多くの人が集まり、案内の内容を確認したり、スマートフォンで撮影したりしていました。

連合「早期の事態収束 強く求める」

大手デパート、そごう・西武の売却をめぐって労働組合が31日、ストライキを実施することを決めたことについて、労働組合の中央組織「連合」は事務局長名で談話を発表しました。

その中で連合は「苦渋の決断をした当該組合員が雇用不安や生活不安を抱えている状況を憂慮し、経営側に対し真摯(しんし)な労使交渉を通じた早期の事態収束を強く求める。そのうえで、引き続き今後の展望を注視しつつ構成組織を最大限支援すると同時に、当該組合員に寄り添い続ける」としています。

池袋本店を訪れた人など貼り紙に困惑も

西武池袋本店の入り口には、31日の全館営業とりやめを知らせる貼り紙が張り出され、店を訪れた人などから困惑の声も聞かれました。

ふだんから池袋で買い物をする20代の女性は「池袋をよく使うので、不便だし、ずっと知ってる人からすると、寂しいのかなって思います」と話していました。

学生時代から利用するという50代の女性は「学生時代から来ていて、思い出の場所です。昔からここあるので、少しずつ変わってますけど、大事な存在なので、困ります。ここにくれば、なんでもそろう場所なので」と話していました。

母親と一緒に買い物に訪れていた中学生は「私は西武にくることはなくて、年代の若い人向けのところにいくことが多いんですけど、西武は池袋の象徴的な存在というイメージがあります。従業員の人たちがストライキを起こして、いいほうにかわるかもしれないし、結果的に売却されてしまうかもしれないですけど、注目したいと思ってます」と話していました。

また、ストライキを評価しているという60代の男性は「やっぱり池袋の顔なので、労働者が声をあげることは大事なんじゃないかな。今までどおりの百貨店のほうがいいと思います」と話していました。