小児がんの研究に「全ゲノム解析」 東京大学などのグループ

遺伝情報をがんの診断や治療に役立てる「がんゲノム医療」を小児がんでも活用できるよう、東京大学などのグループがすべての遺伝情報を解析する「全ゲノム解析」という技術で小児がんの遺伝子の異常を調べる研究を始めることになりました。

この研究は、東京大学大学院医学系研究科の加藤元博教授や、国立がん研究センターなどのグループが、ことし11月から本格的に始めるものです。

がんの治療では遺伝子を調べて正確な診断や最適な治療薬の選択につなげる「がんゲノム医療」が注目されていますが、一般的に使われている検査は大人のがんの遺伝子の異常を主な対象としているため、小児がんに特有の異常は十分に調べられないなどの課題があるということです。

このためグループでは、全国の小児がんの患者、およそ100人に協力してもらいがん細胞のすべての遺伝情報を解析する「全ゲノム解析」を行って、遺伝子の異常を調べ、精度の高い診断や治療法の選択に役立つかを検証するということです。

また、小児がんと関連する新たな遺伝子の異常を調べるほか、データを匿名化したうえで製薬会社に提供し、治療薬の開発などにも役立てたいとしています。

研究の責任者を務める加藤教授は「小児がんの治療方法を選択するうえで大事なのがゲノムの情報だ。今の小児がんの患者のためにも、5年、10年後の患者のためにも役立つような結果につながることを期待している」と話していました。