ウクライナ軍 南部ロシア防衛線の一部突破“ロボティネ奪還”

反転攻勢を進めるウクライナ軍は、南部ザポリージャ州でロシア側の防衛線の一部を突破したとみられ、さらに南方の要衝に部隊を進軍させるねらいです。一方、ロシア軍は、精鋭とされる空てい部隊を展開したと指摘され、攻防が一段と激しくなるとみられます。

ウクライナ軍は28日、南部ザポリージャ州の集落、ロボティネを奪還したと発表しました。

ロシアが築いた防衛線の一部をウクライナ軍が突破した形で、今後、部隊を南下させ、ロシア側が支配する交通の要衝、トクマクまで進軍させるねらいです。

こうした動きに対して、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日、ロシア軍は、ロボティネ周辺の陣地を強化するため東部ルハンシク州から精鋭部隊とされる「第76親衛空てい師団」を展開したとみられると指摘し、双方の攻防が一段と激しくなるとみられます。

一方、ロシア国防省は28日夜「クリミア半島に向かってアメリカ空軍の無人機、MQ9『リーパー』と『グローバルホーク』が黒海の南西部上空を飛行しているのを28日探知した。ロシアの戦闘機が緊急発進し、無人機は進路を変更した」などと主張しました。

ロシア国防省は、27日も黒海上空でアメリカ空軍のMQ9「リーパー」を探知したと発表しています。

ロシアが一方的に併合した南部クリミアに対しては最近、ウクライナ側が無人機による攻撃を続けているほか、上陸作戦も実施したとされ、ロシア側は警戒を強めているものとみられます。

“約20キロ先のトクマクまで進軍できるかが焦点”

ウクライナ軍の報道担当者が28日、地元テレビ局のインタビューで現在の戦況について説明し「解放した南部ザポリージャ州のロボティネを固めている。地雷を除去し、さらなる行動の準備をしている。ロボティネの南東では一定の成功を収めている」と強調しました。

そのうえで、解放したロボティネやその周辺について「この地域をあしがかりにすれば、さらなる兵士を追加し、幅広い行動をとることができる。トクマクへと続く重要な補給路の1つだ」と述べ、当面は、ロボティネの南部に位置する集落ノボプロコピウカなどでの戦果を重ね、およそ20キロ先の交通の要衝トクマクまで進軍できるかが焦点になるという見通しを示しました。

一方、ロシア軍の状況については「ロシア軍は簡単には去らないだろう。1日に300人が死傷しているがそれを補うため、敵は兵士を送り込んでいる。残念だが、ロシアには多大な人的資源がある」と指摘し、ロシア軍は兵士の補充を続けているとして警戒感を示しました。

ただ、新しく投入されているロシア軍の兵士について「それまでの部隊よりも訓練が十分でないか、全くできていない部隊もある」と述べ、練度は必ずしも高くはないと主張しました。