日本学術会議 形態や機能の見直しを議論 有識者懇談会の初会合

日本学術会議のあり方を検討する有識者懇談会の初会合が開かれ、組織の形態や機能の見直しの議論が始まりました。
学術会議を国の機関として残すか、独立した民間法人に改めるかなどが焦点となります。

有識者懇談会は、国立大学の学長など12人からなり、29日初会合を開きました。

学術会議を所管する後藤経済再生担当大臣は「学術会議がより一層、国民から理解され信頼される存在であり続けるため、率直に議論してほしい」と述べました。

そして懇談会では、今後、会議側からの意見も聞きながら、組織の形態や機能などの見直しの方向性について提言をまとめることを確認しました。

学術会議をめぐって政府は、透明性を高めるため、国の機関として残した上で会員の選考に第三者が関与するしくみなどを設ける法案を先の通常国会に提出する方針でしたが、会議側に「独立性が損なわれる」と反対され、見送りました。

こうした経緯から政府・自民党内では、会議を国の機関から切り離して民間法人とすべきだなどという意見も出ています。

このため有識者懇談会では、学術会議を国の機関として残すか、独立した民間法人に改めるかなどを焦点に議論が進められる見通しです。

松野官房長官「日本学術会議とも対話しながら丁寧に議論を」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「求められる機能やそれにふさわしい組織形態のあり方について日本学術会議とも対話しながら丁寧に議論を進めてもらうことを期待する。ことしの骨太の方針で『国から独立した法人とする案等をそ上に載せて議論する』とされており、これを踏まえ、有識者懇談会で議論を行っていくものと承知している」と述べました。

学術会議 梶田会長「有意義な機会となることを期待」

日本学術会議の在り方を検討する有識者懇談会の初会合が開催されたことについて、出席した学術会議の梶田隆章会長は記者会見で「政府の案は学術会議がさまざまな活動をするうえで問題が多い案だと再度、説明した」と述べました。

また、冒頭以外会合が非公開となったことについては「私たちは公開を願っていたがかなえられず残念だった。今後も機会があれば公開してほしいと言っていきたい」と、運営の在り方について意見を述べました。

そのうえで「この有識者会合が日本や世界が抱える科学の課題を大きな視野で見据えて、日本の学術の在り方全体を見直すための有意義な機会となることを期待する」と述べました。

総務省の審査会 氏名など「開示すべき」答申 任命拒否問題めぐり

3年前、日本学術会議が推薦した会員候補が任命されなかった問題をめぐり、総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」は、任命されなかった6人の氏名や専門分野などが書かれた行政文書などを「開示すべきだ」と答申しました。

日本学術会議は3年前、就任する新しい会員の候補として、定数の半分にあたる105人のリストを法律に基づいて提出しましたが当時の菅総理大臣がこのうち6人を任命しませんでした。

6人を含む研究者と支援する法学者や弁護士などは、任命拒否の理由を明らかにするために、おととし4月内閣府や内閣官房に対し情報公開請求しましたが、任命拒否の理由や経緯がわかる文書はいずれも開示されず、不服として国の処分の取り消しを求める審査請求を行っていました。

これについて総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」は今月7日付けで、「不開示」として黒塗りにされていた6人の氏名や専門分野などについて「開示すべきだ」とする答申をしました。

また、6人の請求に対し文書が存在するかどうかも回答できない「存否応答拒否」とした決定については「取り消すべきだ」としています。

一方、任命拒否の根拠や理由がわかる文書を「不存在」を理由に開示しなかった対応については「妥当だ」と判断しました。

6人を支援する弁護士グループは、内閣官房と内閣府に対し速やかに答申に従って文書を開示するよう求めるとしたうえで「今からでも国民に対する説明責任を果たし、任命拒否の理由を明らかにするとともに、任命を履行することを強く求める」としています。