“性被害を認めて謝罪を” ジャニーズ問題 当事者の訴え

ジャニーズ事務所の元所属タレントなどから前社長による性被害の訴えが相次いでいる問題をめぐり、外部の専門家による再発防止のための特別チームが29日会見を開きました。

性被害を訴える当事者の会には同様の相談が相次いでいて、このうち今月新たに加わった元タレント2人は、特別チームには事務所が変わるような提言をしてほしいと話しています。

加わった元タレント2人

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」はジャニー喜多川前社長からの被害を受けたと訴えている元タレント7人がことし6月に立ち上げたもので、事務所に対して性被害があったことの認定と謝罪を求めて活動しています。

今月4日には、この問題を調査し、当事者の会にも聞き取りをした国連の人権理事会の専門家が「数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」などとする見解を示しました。

こうした中、当事者の会には自分も被害にあったなどという相談が数十件寄せられているということで、このうち2人が今月から新たにメンバーに加わりました。

その1人、大島幸広さん(38)は中学2年生だった1998年にジャニーズ事務所に入り、入所した初日に前社長の自宅で性被害を受けたといいます。

その後も頻繁に自宅に呼ばれ、退所するまでの週に数回、2年間でおよそ200回の被害にあったといいます。

参加を決めた理由について大島さんは「5月に事務所の社長がおわびする動画が出た時点では『今は被害の声が出ているけどまた消えていくのかな』と正直思っていました。それが国連の調査が入り、そのあとの当事者の会の皆さんの会見を見て、自分も頑張りたいと心を決めました」と話していました。

もう1人の長渡康二さん(40)は、1996年に事務所に入り、入所から数か月後に大阪のホテルに呼ばれて被害を受けたといいます。

その後、何度も抵抗するようになると、次第に前社長から距離を置かれるようになったといい、活動は難しいと考えて退所しました。

長渡さんは「夢を持っていたのと、母子家庭で応援してくれる親に報いたいという思いもあり活動していました。でも売れるために行為に耐え忍んでいかないといけないのは耐えられず、このままいても無理だなと思ってやめました。当時から人には話さず、意識的に思い出さないように過ごしてきました」と語りました。

“声を上げられるように変わってほしい”

29日、事務所が設置した外部の専門家による特別チームが再発防止に向けて提言するのを前に、2人は事務所や芸能界、社会が変わっていく内容を示してほしいと話していました。

大島さんは「事務所の幹部には自分を守るのではなく、まずは性被害を認めて謝ってほしい。おかしいことはおかしいとタレントたちが声を上げられる事務所になるように、報道機関を含めた周りもそれを指摘していけるように変わってほしい」と話していました。

また長渡さんは「ジャニーズ事務所はもちろんだが、芸能界全体で、社会全体で、性被害があるのは当たり前ではないと、ダメなものはダメなのだと全員の意識が変わってほしい。少しでも声を上げることで意識を高めていくために自分も貢献していきたい」と話していました。