嫌がらせの国際電話 警察に相談225件 処理水放出で

東京電力福島第一原発にたまる処理水の放出をめぐり、国内の店舗や施設に中国からとみられる国際電話による嫌がらせが相次いでいますが、警察庁によりますと、各地の警察には28日正午までに31の都府県で、225件の相談が寄せられているということです。

飲食店やホテルなどの民間事業者のほか、市役所や学校など公共施設にも嫌がらせの電話がかかってきていて、225件の相談のうち、最も多い74件が福島県内からのものだということです。

谷国家公安委員長「中国側に適切な対応を求める」

谷国家公安委員長は29日の閣議後の記者会見で「各地の警察に相談がなされていると承知している。中国側に対し、国民に冷静な行動を呼びかけるなど、適切な対応をとるよう、外交ルートを通じて強く求めている。引き続き、関係機関と連携しながら今後の情勢を注視するよう、警察を指導していきたい」などと述べました。

林外務相「密接に意思疎通を図っていきたい」

林外務大臣は閣議のあとの記者会見で「極めて遺憾であり、憂慮している。中国側には冷静かつ建設的な対応を求めていく」と述べました。

その上で、中国との関係について「建設的かつ安定的な関係構築を双方の努力で進めていくのがわが国の一貫した方針であり、処理水についても日本側の立場をしっかりと主張しながら、中国側に責任のある行動を強く求めていく。中国側とは密接、緊密に意思疎通を図っていきたい」と述べ、対話を続けていく考えを示しました。

松本総務相「迷惑電話対策サービス説明を」

松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「中国から発信されていると思われる嫌がらせなどの不審な電話が多数発生していることは極めて遺憾であり、大変憂慮している」と述べました。

その上で「電話サービスを提供する事業者に対して、特定の番号や国際電話を拒否するなど迷惑電話対策のサービスについて利用者にしっかりと説明し、申し込みがあれば円滑に対応するよう要請した」と述べました。

公明党 山口代表 ”嫌がらせをやめさせるよう粘り強く求める”

公明党の山口代表は記者会見で「度を超した行動も見られ、早く自制をしてもらいたい」と述べ、日本政府は嫌がらせをやめさせるよう中国側に粘り強く求める必要があるという考えを示しました。

その上で、国際社会の理解を促進するため、政府に対しモニタリングの結果を英語以外の言語でも公表するなど情報発信を強化するよう求めました。

一方、自身の中国訪問が延期になったことについては「こういう時だからこそ中国側と率直に胸襟を開いて対話したいと思っていた。次の機会に大局的な観点から対話をしたい」と述べました。