中村哲さん考案の「かんがい」広める事業 日本政府支援で開始

干ばつの被害が続くアフガニスタンで2019年に銃撃されて亡くなった医師の中村哲さんが考案した、かんがいの手法を広める事業が日本政府の支援で始まることになりました。

アフガニスタンではおととし、イスラム主義勢力タリバンが復権しましたが、長引く干ばつで農産物の収穫に影響が出て、深刻な食料不足に陥っています。

こうした中、日本政府の無償資金協力のもとJICA=国際協力機構とFAO=国連食糧農業機関が農業の振興をめざす取り組みを行うことになりました。

28日、首都カブールで日本の岡田隆大使と、FAOの現地代表による署名式が行われ、岡田大使は「アフガニスタンの人たちが生活を再建できるように支援したい」と述べました。

事業では、福岡市のNGO「ペシャワール会」の現地代表として、アフガニスタンの農地の再生に取り組んだ医師の中村哲さんが考案したかんがいの手法の普及を目指すことにしています。

この手法は現地の人が施設の維持や管理をしやすいのが特徴で「ペシャワール会」の協力のもと東部クナール州で、かんがい施設の改修工事や現地の住民への研修活動を始める予定だということです。

事業は、今月からはじまり、対象となる地域のおよそ1万2000人の生活の改善が期待されています。