【解説】“プリゴジン氏死亡” ワグネルの今後は? 戦況は?

ロシア当局がワグネルのプリゴジン代表について、DNA鑑定の結果だとして、その死亡を公式に確認しました。この発表の通りだとすれば、プリゴジン氏は死亡したことになります。これを受けて、「今後、どうなるのか」に注目が集まっています。

▼組織の行方
▼ワグネルの利権の行方
▼ウクライナの戦況への影響
という3つのポイントで見てみます。

「キャッチ!世界のトップニュース」の別府正一郎キャスターが詳しく解説します。

※8月28日の「キャッチ!世界のトップニュース」で放送した内容です
※動画は3分45秒、データ放送ではご覧になれません

“プリゴジン氏死亡” ワグネルは今後どうなる

まず、ワグネルの組織の行方です。

プリゴジン氏という強い個性をもつリーダーを失ったとしても、組織は形を変えながら、存続するという見方が出ています。

アメリカの雑誌「タイム」は専門家の話として、「新たなリーダーが誰になるかはまだ見えてこないものの、引き続き、ロシアの外交政策で重要な役割を担うだろう」と分析しています。

また、BBCは、別の専門家の話として「ワグネルは単独の人物ではなく、さまざまな部門から成り立っており、別の名前になっても存続するだろう」と伝えています。

こうした見方が出ているのは、ワグネルの活動がロシアの利権となっていて、それをやめることよりも続けたほうが経済的にも政治的にも利益をもたらすことがあります。

ワグネルの利権 アフリカでの影響力は

とりわけ重視されているのがアフリカでの利権です。

中央アフリカでは、ワグネルは、金やダイヤモンドの鉱山の採掘権を持っているとされ、アメリカのシンクタンク、CSIS=戦略国際問題研究所は、年間10億ドル、日本円でおよそ1460億円を得ているという調査結果もあるとしています。

また、軍事クーデター後に西側との関係が悪化するマリにもワグネルは送り込まれたとされ、マリはロシアへの依存を深める中で、国連総会の投票でもロシア寄りの姿勢を強めました。

こうしたワグネルの利権をロシアが「簡単に手放すことはない」、あるいは「手放す余裕はない」と言ってもいいかもしれません。

実際、ワシントン・ポストは「すでに、別の2つの民間軍事会社がアフリカでの活動のために人を雇い始めている」とした上で、利権維持のためにワグネルのメンバーが吸収されている可能性を指摘しています。

ウクライナへの影響 ”ワグネル的なもの”は今後も存続か

ウクライナの戦況への影響も限定的と見られます。

確かに、受刑者も大量に雇ったワグネルの残虐な戦闘で、ことし5月にはロシア側はウクライナ東部の要衝バフムトを陥落させました。

しかし、その後、6月の武装反乱の後、ワグネルの戦闘員はベラルーシに行ったり、正規軍に吸収されたりしています。

そういう意味では、プリゴジン氏の死亡の影響が戦況に直ちに現れるようなことはないと見られています。

プリゴジン氏の最新の発言や行動が注目を集めた日々は終わりました。

しかし、その死にもかかわらず、国家とは一線を画しながらうごめく”ワグネル的なもの”は今後も存続することになると見られます。