台湾総統選 ホンハイ精密工業創業者の郭台銘氏 立候補意向表明

来年1月の台湾の総統選挙に向け、電子機器の受託生産で世界最大手のホンハイ精密工業の創業者、郭台銘氏が、28日、無所属で立候補する意向を表明しました。

台北で記者会見した郭氏は、「総統候補として2024年の総統選挙に参加することを決めた」と述べました。

その上で「われわれは民進党を下野させなければならない。民進党政権はこの7年余り、対外的には台湾を戦争の危険に向かわせ、内政でも政策を誤ってばかりだ」と批判し、政権交代を訴えました。

郭氏は電子機器の受託生産で世界最大手のホンハイ精密工業の創業者で、2016年に大手電機メーカーのシャープの買収も手がけました。

ホンハイは中国に多額の投資をしていて、郭氏は大株主ですが、28日の記者会見で「『言うことを聞かなければホンハイの財産を没収する』と中国が言うなら、私は『はい、どうぞ』と答える」と述べ、総統になっても中国の圧力は受けないという姿勢を強調しました。

来年1月の総統選挙に向けて郭氏は、当初希望した最大野党 国民党からの立候補がかなわず、いったんは国民党が擁立する現職の新北市長の侯友宜氏を支えるかのような意思表示をしました。

しかし、その後も台湾各地を回ってみずからへの支持の呼びかけを続けてきました。

郭氏の記者会見を受けて、国民党は「極度の遺憾を表す」とした上で「郭氏が最後には国民党と侯友宜氏を支持し、一緒に民進党を下野させると信じている」とコメントしました。

法律の規定によりますと、郭氏は前回の選挙の有権者総数の1.5%にあたるおよそ29万人の署名を今後集めれば、無所属で立候補できます。

今度の総統選挙には、与党 民進党が現職の副総統の頼清徳氏を擁立するのに対し、野党は国民党の侯氏のほか、民衆党から前の台北市長の柯文哲氏が立候補を表明しています。

郭氏が立候補する場合、与党に対する批判票が分散する可能性があると指摘されていて、政権交代を実現するための選挙協力の駆け引きが活発化しそうです。