H2Aロケット47号機 きょうの打ち上げ中止 風が条件満たさず

日本初の月面着陸を目指す月探査機「SLIM」などを搭載した「H2A」ロケットの47号機は28日午前、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる予定でしたが、上空の風が強く、条件を満たしていないとして打ち上げが中止されました。

種子島宇宙センターでは、28日午前9時26分に「SLIM」などを搭載した「H2A」ロケット47号機が打ち上げられる予定でした。

しかし、上空の風が強く、条件を満たしていないとして打ち上げの27分前になって、28日の打ち上げは中止されました。

三菱重工業などは昼前に記者会見を開き、ロケットは燃料を抜いたうえで機体を保管する建屋に移動させると説明しました。

そのうえで、新たな打ち上げの日程については、機体や今後の天候の状況を見極めて判断するとしています。

三菱重工業の徳永建 打上執行責任者は「打ち上げの30分ほど前に中止するのは苦渋の判断だった。多くの方に非常に残念な思いをさせたが、慎重な判断の結果なので理解してほしい」と述べました。

「H2A」ロケットをめぐっては、ことし3月に新たな主力ロケット「H3」の初号機が打ち上げに失敗し影響が懸念されていましたが、JAXAは共通する部品の検査を強化するなど対策を講じてきました。

「H3」の打ち上げ失敗以降、日本の大型ロケットの打ち上げは初めてで注目されています。

公園で打ち上げを待っていた人は

発射場から北西に6キロメートル余り離れた鹿児島県南種子町の「長谷展望公園」には、打ち上げ予定時刻が近づくにつれて、子ども連れやカメラを持った人などが集まってきました。

東京から親戚の家を訪れていたという小学6年生の女の子は「午前7時くらいからここで待っています。煙をいっぱい上げて宇宙まで上がってほしい」と話していました。

打ち上げを見るために来た都内の30代の男性は「撮影して動画投稿サイトに投稿しようと思っています。初めて打ち上げを見るので、どんな感じなのかわくわくしています」と話していました。

しかし、午前9時すぎ、打ち上げ中止を伝えるアナウンスが公園のスピーカーから流れると、集まった人たちは落胆した様子で、レジャーシートをたたんだり、撮影用の機材を片づけたりしていました。

福岡県から来た40代の男性は「人生で一度、打ち上げを見ることができるかもしれないタイミングを逃したので、本当に悔しいです。観光して帰ろうと思います」と話していました。

友達と訪れていた種子島の小学5年生の女の子は「せっかく見に来て、とても楽しみにしていたので悲しいです。中止はしょうがないけど、風がなければよかったです」と話していました。

長崎県から来た50代の男性は「打ち上げが見られなくて残念ですが、衛星は大事なので、準備が整ったときに打ち上げてほしいです。次の打ち上げに来られなかったら、別の場所から応援します」と話していました。

市街地でも落胆の声

打ち上げが中止されたことについて、発射場がある鹿児島県南種子町の市街地でも落胆の声が聞かれました。

20代の男性は「関係者の皆さんが頑張っていた中で、中止になったのは残念ですが、諦めずに頑張ってほしい」と話していました。

小学4年生の女の子は「楽しみにしていたので、すごく残念です。きょうは打ち上げが見られなかったけど、次の機会が楽しみです」と話していました。