子どもの転落死亡事故受け 窓の「補助錠」無料配布へ 名古屋市

ことし3月、名古屋市中心部のマンションの窓から双子の兄弟が転落し、死亡した事故を受け、名古屋市は、6歳未満の子どもがいるおよそ8万世帯に、窓に取り付ける「補助錠」を無料で配布する方針を固めました。市は、必要な費用を来月の定例議会に提出する補正予算案に盛り込む方向で調整しています。

ことし3月、名古屋市中区のマンションの7階の部屋の窓から当時2歳の双子の兄弟が転落して死亡した事故を受け、名古屋市は、再発防止策の案を取りまとめました。

それによりますと、子どもから一瞬たりとも目を離さないことは不可能だとして、子どもが勝手に窓を開けたり、ベランダに出たりしないよう、窓に取り付ける「補助錠」を無料で配布するとしています。

対象は、6歳未満の子どもがいる市内のおよそ8万世帯で、1世帯につき1つを配布する予定です。

名古屋市によりますと、こうした取り組みは全国で初めてとみられるということです。

市は、できるだけ早く配布を始めたいとしていて、必要な費用を来月の定例議会に提出する補正予算案に盛り込む方向で調整しています。

このほか、対策案では、
▽子どもがいる世帯が転落防止のために住宅を改修する際、費用を補助する制度や、
▽転落を防ぐための行政や民間の役割などを定めた条例の制定を検討することも盛り込んでいます。

8年前息子が転落し大けがの母親「危機意識が高まると思う」

名古屋市の対策について、8年前に5歳だった息子が、自宅の2階の窓からおよそ5メートル下に転落して腕を骨折するなどの大けがをしたという母親は、「日頃は家事に追われて、子どもをずっと見ているのは難しいです。こうした行政の対策によって、家庭で子どもの転落事故への危機意識が高まると思うので、いい対策だと思います。子どもは親の想像のさらに上をいく行動をすることがあるので、行政には日常の生活の中に危険が潜んでいることについて啓発を続けてほしいです」と話しています。

子どもの事故防ぐ活動のNPO「非常に先進的な対策」

子どもの事故などを防ぐ活動をしているNPO法人「Safe Kids Japan」の大野美喜子理事は、「全世帯に補助錠を配る自治体はこれまでになかったと思うので非常に先進的な対策と言える。保護者が24時間、子どもを見守ることは不可能なため保護者の負担軽減という点でも、ほかの地域でも広まってほしい」と話しています。

そのうえで、「行政は補助錠を配るというだけで終わるのではなく、配布後にどれだけの家庭が設置したのかなど、効果についても検証してほしい。それを踏まえて、対策も改善していくことが重要だ」と指摘しています。