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そごう・西武労組 経営側にストライキの実施を通知

大手デパート、そごう・西武の売却をめぐって、雇用などへの懸念から反発している労働組合は、経営側に対し、ストライキの実施を通知したことを明らかにしました。ストライキが実施されれば、主な大手デパートではおよそ60年ぶりとなります。

目次

労組 協議不調で経営側に対し ストライキの実施を通知

業績の不振が続くそごう・西武をめぐっては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが去年11月、アメリカの投資ファンドに売却する方針を決め、最終的な決議に向けて調整を進めています。

これに対して、そごう・西武の労働組合は雇用などへの懸念から反発し、28日午後、東京都内の本社でセブン&アイの井阪隆一社長も出席して、経営側と改めて協議を行いました。

労働組合によりますと、協議が不調に終わったとして、経営側に対し、ストライキの実施を通知したということです。

一方、親会社のセブン&アイは、近く取締役会を開き、売却に向けた最終的な決議を行う方針です。

労働組合側は、経営側のこの方針に変化が見られないと判断した場合、31日から旗艦店の西武池袋本店でストライキを行い、およそ900人の従業員が対象になるとしています。

そのうえで、本社やほかの店舗からの応援で営業を行うかどうかは経営側の判断になるとしています。

ストライキが実施されれば、主な大手デパートでは1962年に当時の阪神百貨店で実施されて以来、およそ60年ぶりとなり、そごう・西武の売却交渉は、調整が難航したまま進む異例の事態となっています。

労組 中央執行委員長「納得感が得られない」

そごう・西武の労働組合の寺岡泰博中央執行委員長は、28日夕方、記者会見を開き、経営側にストライキの実施を通知した理由について「現時点での売却計画が事業の継続や雇用の確保につながるのか、組合としてはまだまだ納得感が得られる状態には至っていない。突然の社長交代など、矢継ぎ早に売却を進めていこうという前のめりの姿勢が見え隠れしている。9月1日に契約を結ぶという疑念が晴れない状態で、それを阻止するという意味で予告という形で通知した」と述べました。

労働組合は、31日から旗艦店の西武池袋本店でストライキを行う構えで、寺岡中央執行委員長は、池袋本店で働くおよそ900人の従業員が対象になることを明らかにしました。

そのうえで「本部の社員やほかの店舗からの応援があれば、営業はできるかもしれないが、混乱は避けられない。どのように営業するのか、営業しないのかは経営側の判断だ」と述べました。

そごう・西武「ご迷惑をおかけする 大変申し訳ない」

労働組合が経営側に対してストライキの実施を通知したことについて、そごう・西武は「ストライキの実行となると、お客様やお取引先様には、ご迷惑をおかけすることとなり大変申し訳なく存じます。一方、今般の株式譲渡がストライキ権の行使に至るほどの重大案件であり、労働組合が雇用と事業の継続について大きな懸念を抱いていることは会社としても認識しております。組合員を含む従業員の不安を払拭すべく、今後も説明と対話を重ねて参ります」とコメントしています。

セブン&アイ 早期の売却を目指す方針を明確に

そごう・西武の労働組合が経営側に対してストライキの実施を通知したことについて、親会社のセブン&アイ・ホールディングスはコメントを発表しました。

このなかで、セブン&アイは「雇用維持と事業継続についてさらに協議を進めるためには、本件譲渡を実行し、そごう・西武が新オーナーのもとで取引先様と協議を行い、事業計画を精緻化することが必要」として、早期の売却を目指す方針を明確にしました。

そのうえで、今後の労使協議について、「当社は適切な範囲で支援や協力をしてまいります」とコメントしています。

豊島区長「雇用面の心配大きい」

大手デパート、そごう・西武の売却をめぐって、労働組合が経営側に対し、ストライキの実施を通知したことについて、豊島区の高際みゆき区長は「池袋の顔である百貨店で、雇用面が不安定のまま売却に向けた協議が進んでしまうのは考えられないことで、影響は本当に大きく、心配の気持ちが大きい」と述べ、まちづくりや雇用の面で懸念を示しました。

池袋駅前の市民「客が置いてきぼり」

大手デパート、そごう・西武の売却をめぐって、労働組合が経営側に対し、ストライキの実施を通知したことについて、旗艦店の西武池袋本店がある池袋駅前で客などに話を聞きました。

本店を普段から利用している男子大学生は「ふだんからよく来ているので、もし休業となったらさみしいです。穏便に終わってくれたらと期待しています」と話していました。

女子大学生は「池袋はおもちゃなどが充実しているので、もし休業したら困ります」と話していました。

60代の会社員の女性は「経営側と組合側のそれぞれに考えていることはあると思いますが、客が置いてきぼりだなという気持ちです」と話していました。

デパートのストライキとは

そごう・西武でストライキが行われた場合、主な大手デパート6社では61年ぶりとなります。

各社などによりますと、主な大手デパート6社では1962年5月に当時の阪神百貨店で行われたストライキが最後で、会社によりますとこの時のストライキは賃上げを理由に行われ、期間中は「組合員全員が職場を放棄した」とする記録が残っているということです。

今回、そごう・西武でストライキが行われた場合、61年ぶりとなります。

そごう・西武の労働組合は想定するストライキの規模について、会社側の判断しだいだとしています。

一方、デパートやスーパーなど流通産業の労働組合も加盟する「UAゼンセン」によりますと、一般的にデパートでストライキを行う場合、取引先のブランドの売り場の従業員などデパートに雇用されていない従業員は組合員ではないため、原則、ストライキの対象ではありません。

ただ、全館休業となった場合は、事実上、その影響を受ける形となります。

また、ストライキ期間中の賃金について、会社側はストライキを実施する従業員に賃金を支払う必要がなく、組合側が補てんするケースもあります。

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