福島県沖のトリチウム“全地点で検出下限の濃度下回る”環境省

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出を受けて、環境省は福島県沖の11の地点で海水を採取し、トリチウムの濃度を分析した結果、すべての地点で検出できる下限の濃度を下回ったと発表しました。

東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出を受けて、環境省は放出開始翌日の25日、放水口の付近や遠いところでおよそ40キロメートルの地点など、福島県沖の合わせて11地点で海水の採取を行い、研究所でトリチウムなどの濃度について分析しました。

そして27日、分析結果について、トリチウムの濃度は11地点のすべてで今回検出できる下限値としていた1リットル当たり10ベクレルを下回ったと発表しました。

処理水の放出前に同じ海域の海水を分析した際は、高いところで1リットル当たり0.14ベクレルだったということで、環境省は今後、より詳しい分析を進めることにしています。

今回の結果を受けて西村環境大臣は「分析の結果、11か所すべてでトリチウム濃度が検出下限値未満であり、人や環境への影響がないことを確認した」などと談話を発表しています。

環境省は結果についてホームページやSNSで公表し、当面は、1週間に1回の頻度でモニタリングを続けることにしています。

福島県の調査でも“全9地点で検出下限の濃度下回る”

処理水の海への放出が始まった後、福島県が原発周辺で採取した海水のトリチウム濃度を分析したところ、9つの地点すべてで、検出できる下限の濃度を下回ったと発表しました。

福島県は原発事故の前から福島第一原発周辺の海水のモニタリング調査を6つの地点で開始し、処理水の放出に向けた工事などが本格化した昨年度からは9つの地点に増やして調査を続けています。

県は処理水の海への放出が始まった翌日の25日に採取した海水の分析を行い、27日、結果を発表しました。

それによりますと、9つの地点の1リットル当たりのトリチウムの濃度はいずれも今回検出できる下限としていた値を下回ったということです。

県は分析結果をウェブサイトで公開していて、次の調査を来週中に行う予定です。