中国の日本産水産物輸入停止 即時撤廃求める考え強調 経産相

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出をめぐり、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止したことについて、西村経済産業大臣はNHKの日曜討論で、漁業者への支援を急ぐとともに、中国政府に対し引き続き、輸入規制の即時撤廃を求めていく考えを強調しました。

福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を薄めたうえで、海に放出する措置が今月24日から始まったことを受けて、政府や東京電力などは周辺の海域で採取した海水や捕れた魚のトリチウム濃度を分析しています。

これについて西村経済産業大臣は「データを透明な形で公表していくことが非常に大事で、きのう、おとといの数値はすでに公表され、検出の限界値より低い」と述べ、今後も分析結果を公表し、安全性と放出への理解を促していく考えを示しました。

一方で、処理水の放出に反発し、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止するなど、影響が広がり始めています。

政府は漁業者を支援するための総額800億円の基金を活用し、風評対策などに取り組む方針で、西村大臣は「水産物が売れない場合に一時的に保管をすることを含めて使え、すでに宮城県や北海道の漁業者から相談を受けているので活用を急ぎたい」と述べました。

また、中国政府に対しては、「即時撤廃を申し入れたところで、科学的根拠に基づいた対応を強く求めたい」と述べ、引き続き、輸入規制の即時撤廃を求めていく考えを強調しました。

福島県 内堀知事「漁業継続できるよう万全を」

一方、福島県の内堀知事は「福島の漁業者の皆さんが望んでいるのは、自分たちの大切な海で、いまの世代、そして将来の世代も漁業を継続していきたいということだと思う。政府には漁業者の葛藤を胸にきざんで、将来にわたって安心して漁業を継続できるよう万全を期していただきたい」と求めました。