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バスケ男子W杯 日本 18点差を逆転しフィンランドに劇的勝利
バスケットボール男子のワールドカップは、パリオリンピックの出場権をかけて32チームが出場し、1次ラウンドでは4チームずつに分かれて総当たりで対戦します。
初戦でドイツに敗れた日本は第2戦で世界24位のフィンランドと対戦しました。
試合は第1クオーター、日本は厳しいディフェンスから相手のミスを誘い、速攻につなげてリズムをつかむとチーム最年長の比江島慎選手がスリーポイントシュートなど9得点を挙げる活躍を見せ、22対15とリードしました。
しかし、第2クオーターは相手の高さのある攻撃を止められず逆転を許し、36対46とリードされて前半を折り返しました。
第3クオーターは一時、18点差までリードを広げられますが、富永啓生選手のスリーポイントなどで徐々に点差を詰めて、10点差で第4クオーターに入りました。
第4クオーターでは河村勇輝選手のスリーポイントなどで追い上げ、残りおよそ4分半で河村選手がファールをもらいながらシュートを決めて同点に追いつき、フリースローも決めて逆転に成功しました。
その後も、河村選手がスリーポイントを連続して決めて相手を突き放し、日本は、このクオーターだけで20点差をつける猛攻で、98対88でフィンランドに逆転勝ちしました。
ワールドカップでの日本の勝利は前身の大会の世界選手権で2006年にパナマに勝って以来、17年ぶりです。
目標は「40%の成功率」 攻撃支えたスリーポイント
フィンランドに最大18点差をつけられながらも劇的な逆転勝利を収めた日本。
第4クオーターで35点を挙げた攻撃を支えたのは、日本がこれまで磨いてきたスリーポイントシュートでした。
積極的にスリーポイントシュートを狙う戦術の日本は、トム・ホーバスヘッドコーチが、「40%の成功率」を目標に掲げてきました。
しかし、ワールドカップ前の強化試合では、スリーポイントの成功率が上がらずにフランスとスロベニアに連敗し、世界ランキング11位のドイツとの初戦でも、35本中6本しか決まりませんでした。
成功率はわずか17.1%と目標の40%に大きく届かず、18点差で敗れました。
この流れはフィンランド戦の前半でも続き、成功率は27.2%で、相手に10点のリードを許す展開となりました。
それでも日本は、積極的にスリーポイントシュートを打っていく姿勢を崩しませんでした。
シューターの富永啓生選手は「スリーポイントはこのチームにいる理由だ」とスリーポイントラインから離れた位置からも積極的にシュートを狙い、これを決めることで、チームの反撃ののろしを上げました。
勝負どころの第4クオーターでは河村勇輝選手が磨いてきたシュート力を存分に発揮しました。
このクオーターだけで4本のスリーポイントを決めた河村選手は逆転の立て役者となりました。
河村選手と富永選手はこの試合でいずれも7本中4本のスリーポイントを決め、成功率は、57.1%。
チームのスリーポイントの成功率も最終的に39.2%まで引き上げました。
目標の「40%」に近づけば世界と戦えることを示した日本。
次は世界3位の強豪、オーストラリアに挑みます。
25得点の河村勇輝「歴史的な勝利嬉しい」
フィンランド戦で25得点を挙げて勝利に貢献した22歳の河村勇輝選手は「ここまでシュートが入らずチームに迷惑をかけてきたが、ヘッドコーチやチームメイトなどが信頼してくれて、その思いが詰まったシュートだった」と振り返りました。
そのうえで「みなさんの応援のおかげで劣勢の時間も乗り切ることができた。歴史的な勝利を日本で挙げられたことが嬉しい」と話していました。
4本のスリーポイント 富永啓生「人生で1番ぐらいうれしい」
フィンランド戦で、4本のスリーポイントシュートを決め17得点を挙げた富永啓生選手は「人生で1番ぐらいうれしい。スリーポイントは自分の役割で、このチームにいる理由なので決められてよかった。次も気持ちで負けない」と話していました。
渡邊雄太「あす動けなくなってもいいという気持ちで」
渡邊雄太選手は「あす動けなくなってもいいという気持ちで動いた。大きな1勝だが満足することなく、次に向かっていく」と話していました。
トム・ホーバスヘッドコーチ「こういうゲーム 経験ない」
日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチは「こういうゲームは経験がない。最高だ。第2クオーターは相手のリズムだったが、後半は日本のリズムだった。次のオーストラリア戦も勝ちたい」と話していました。