プロ野球 中日 大島洋平が2000本安打達成 史上55人目

プロ野球・中日の37歳、大島洋平選手が26日、バンテリンドームナゴヤで行われたDeNA戦の3回の第2打席でセンター前にヒットを打ち、通算2000本安打の偉業を達成しました。

大島選手は通算2000本安打にあと1本として、26日、本拠地のバンテリンドームナゴヤで行われたDeNA戦に2番・レフトで先発出場しました。

1回の第1打席はセカンドゴロでしたが、3回の第2打席でセンター前にヒットを打って、通算2000本安打の偉業を達成しました。

通算2000本安打はおととし9月に西武の栗山巧選手が達成して以来、プロ野球史上55人目です。

大島選手は通算1787試合目での記録達成で、これは福本豊さんを抜き、史上9位の速さでの達成となりました。

中日では2017年に、現在、内野守備走塁コーチを務める荒木雅博さんが達成して以来、6年ぶり7人目となります。

大島洋平「2500本 3000本と体が動くかぎり目指したい」

大島選手は試合後、球場の会議室で会見を行い、偉業達成について、「今シーズンは残り115本でスタートしたが、5月と6月に苦しんで正直、達成できるかわからなかったので、届いてほっとした」と現在の心境を語りました。

そのうえで、26日の試合について、「いつもどおり、いつもの流れで試合に入ろうとしたが、ファンの歓声はすごいし、違う緊張感、雰囲気があった」と振り返りました。

そして、初球を捉え2000本安打を達成した打席について、「体が反応したというか、甘いボールが来たら振ろうと思っていた。基本に忠実なセンター返しをできた」と話しました。

また、「今まで使ってもらった監督、コーチに感謝している。また毎日元気に送り出してくれるトレーナーなど、みなさんのおかげでここまで来ることができた。自分1人では達成できなかったと思う。家族にはしっかり『ありがとう』ということは伝えたい」と感謝の言葉を口にしました。

最後に今後の目標について、「自分の中では2500本、3000本と体が動くかぎり目指したいと思っている。とにかく1本でも多くヒットを打ちたい」と語りました。

中日 立浪和義監督「これからもチームを引っ張ってほしい」

中日の立浪和義監督は通算2000本安打を達成した大島選手について、「達成してくれて本当にうれしく思っている。これまで積み重ねてきた努力があったからこそ、決して大きい体ではないが、けがなくここまで来ることができたと思う」と話しました。

今後については、「年齢ではベテランの域に達しているが、これからもチームの中心として引っ張っていってほしい」とさらなる期待をしていました。

大島洋平 きゃしゃながら巧みなスイング

大島選手は名古屋市緑区の出身。

地元の徳重小学校から扇台中学校を経て、愛知私学4強の1つ享栄高校に進みました。

球団資料によると大島選手は身長1メートル76センチで体重75キロ。プロ野球選手としては小柄です。

高校生の時はもっときゃしゃで、当時100人以上いた部員の中で体格では目立っていませんでした。

ただ、バッティング練習で見せる巧みなスイングは高校生離れしていたということです。

当時、享栄高校の監督を務めていた柴垣旭延さん(81)
「どんなボールでも右に左に、あるいは真ん中に人のいないところに打つのがとにかく上手だった。高校3年間、これといったけがもなく、厳しい練習でも音を上げるということはなかった。新チームになってからは先頭になって引っ張ってくれたし、芯の強さを感じていた」

大島選手はその後、ともに多くのプロ野球選手を輩出している東都大学野球の駒沢大学、社会人野球の日本生命を経て、24歳だった2010年にドラフト5位で入団しました。

ドラフト会議での指名が下位だったことについて当時、中日でスカウト部長を務めていた中田宗男さん(66)は、ドラフト会議があったその年に右手首を骨折したことで各球団の評価が下がったという見方を示しています。

中田宗男さん
「ドラフト指名ができる社会人2年目は右手首を骨折をして、無理かなと思っていたが、回復したので下位指名した。地元の選手でもあり、高校からずっと注目していた。バッティングで天才的なバットコンタクトができるなと見るたびに思っていた。普通だったら下位で獲得できる選手じゃない」

社会人野球出身で即戦力と期待された大島選手は1年目から開幕戦に先発出場。

プロ初ヒットは開幕2試合目の広島戦で、ルーキーイヤーから104試合に出場しました。

3年目にはレギュラーに定着。持ち味のミート力を生かし、昨シーズンまで毎年120本以上のヒットを打ち、打率3割も6回、マークしました。

さらに、2019年と2020年は2年連続で最多安打のタイトルを獲得するなど、このところ下位に低迷するチームの中で存在感を示してきました。

通算1500本安打を達成した2020年には、ヒットを積み重ねる秘けつについて、「ずっと同じ動きだと体に慣れがくるような感覚が僕はあるので、時折、フォームをちょっと変えてみたり、元に戻したりと、シーズン中でも自分の体に合わせながら日々変えている」と話し、ベテランと呼ばれる域に入っても、これまでの実績に安住することなく微調整を繰り返し、打席に入っていると説明しました。

そして、通算2000本安打まであと115本でスタートした今シーズンの春のキャンプでは、「1年で手が届くところまできた。2000本は1つの目標ではあるが、離脱せずに戦い抜くことを大事にしたい」と意気込みを示していました。

シーズン開幕から4月までは3割を超える打率をマークしましたが、5月は2割2分8厘、6月も2割5分と成績を落としました。

それでも7月は3割4分8厘の高打率で盛り返し、2000本安打にあと1本で迎えた26日のDeNA戦でセンター前にヒットを打ち、偉業を達成しました。