処理水放出 国連安保理で中国・北朝鮮が批判 日本は反論

国連の安全保障理事会では、中国と北朝鮮がそろって東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出について日本の対応を批判する発言を展開し、これに対して日本が科学的根拠に基づいて発言すべきだと繰り返し反論する場面がありました。

25日に開かれた国連安保理の緊急会合では、北朝鮮が軍事偵察衛星の打ち上げを試みたことについて各国から非難する意見が相次ぎましたが、北朝鮮のキム・ソン国連大使は、自衛権の行使だとして従来の主張を繰り返したあと、処理水の海洋放出に言及し「安保理は、人類の安全と環境を著しく危険にさらす日本を非難すべきだ」などと主張しました。

これに対してすでに演説を終えていた日本の石兼国連大使が追加の発言を求め、「科学的根拠のない主張は受け入れられない」と反論しました。

すると今度は中国の耿爽国連次席大使が「この機会にわれわれの立場を説明したい」と述べた上で日本の対応を批判する主張を展開し、さらに北朝鮮のキム大使が再び発言を求め、中国と北朝鮮がそろって海への放出をやめるべきだと主張しました。

これに対して石兼大使は改めて追加発言を求め、処理水は大量の海水と混ぜ合わせ基準を下回る濃度に薄めてから放出することなどを説明し、中国と北朝鮮に対して科学的根拠に基づいて発言すべきだと改めて指摘しました。

石兼国連大使「並べて論じること自体 適当でない」

北朝鮮が軍事偵察衛星の打ち上げを試みたことをめぐって開かれた安保理の会合で、中国と北朝鮮が処理水の海洋放出に言及したことについて、日本の石兼国連大使は会合の後、記者団に対し「そもそも全く性質が違う話だ。処理水の放出は国際的な基準を踏まえ、かつ透明性がある中で行っている。北朝鮮の打ち上げは安保理の決議違反であり、これを同一のところに並べて論じること自体が全く適当ではない」と述べました。

その上で「中国と北朝鮮からあのようなコメントがあったので、この際、しっかりと日本の立場を明らかにしていく必要があると考えた」と説明しました。