第169回芥川賞と直木賞の贈呈式 市川沙央さんら3人喜び語る

第169回芥川賞と直木賞の贈呈式が25日、東京都内で行われ、受賞した3人の作家が喜びを語りました。

第169回の芥川賞と直木賞は、先月の選考会で、
▼芥川賞に市川沙央さんの「ハンチバック」が、
▼直木賞に
▽垣根涼介さんの「極楽征夷大将軍」と
▽永井紗耶子さんの「木挽町のあだ討ち」の2つの作品が選ばれました。

25日は東京都内で賞の贈呈式が開かれ、受賞した3人に記念品と賞金の目録が贈られたあと、それぞれあいさつしました。

このうち、芥川賞を受賞した市川さんは、難病の筋疾患「先天性ミオパチー」のため電動車いすで登壇し「私は読書バリアフリーを訴えていますが、きょうは出版界の皆様が勢ぞろいということで、改めて環境整備をお願いしたい。『ハンチバック』で復しゅうするつもりでしたが、こうして皆さんに囲まれていると復しゅうはむなしいことも分かりました。愚かで浅はかだったと思います。怒りの作家から愛の作家になれるようにこれから頑張っていきたい」とユーモアを交えながら語りました。

また、直木賞を受賞した垣根さんは、選考会の前の心境について「今回、ほかの候補作を買って1冊目に読んだ作品がめちゃめちゃおもしろくて、自分がやばいと思いました。これだけおもしろかったら十分だ、自分も一生懸命書いたけど、これだったらしょうがないと思っていました」と振り返ったうえで「受賞作に選ばれましたが、そうやって、おもしろいと思って読むことによって、壇上に立つことができたと思っています」と語りました。

同じく直木賞を受賞した永井さんは「この場に立って何を言うだろうと思っていましたが、感謝しかありません。作品を書いているときは闇に向かって投げているようで初めて感想が返ってきて届いたんだと感じることを繰り返してきました。書店の方たちなどいろんな応援の声を聞いて、これが手応えというものなのかと感じています。大きな賞をいただいたのでこれからも書き続けていくことができてうれしく、今後とも精進したい」と喜びを語りました。