米西部の高原リゾート地で経済シンポジウム 24日から開催

アメリカ西部の高原リゾート地で、主要国の中央銀行幹部や経済学者などが一堂に集まるシンポジウムが24日から始まります。FRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長が行う講演で、年内の追加利上げの方向性やインフレの見通しなどにどのように言及するのか関心が高まっています。

このシンポジウムは、西部ワイオミング州の高原リゾート地として知られるジャクソンホールで毎年開かれているものです。

ことしは24日から主要国の中央銀行幹部や経済学者などが一堂に集まり、「世界経済の構造転換」をテーマに、金融政策の課題などで意見を交わします。

注目は現地25日朝、日本時間の25日午後11時すぎから行われるFRBのパウエル議長の講演です。

アメリカでは、個人消費や雇用など強い経済指標が相次いで発表され、FRB内部でもインフレ率の上昇リスクが大きいとの認識が広がっています。

このため市場では、パウエル議長がインフレ抑制に向けた決意を改めて鮮明にするのではないかとの見方が出ています。

そのうえで、年内の追加利上げの方向性やインフレの見通しなどに、どのように言及するのか関心が高まっています。

このシンポジウムでは、過去には何度も金融市場を大きく動かす発言が飛び出すことで知られています。

去年は、パウエル議長の利上げ継続姿勢を受けて、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は1000ドルを超える急落となりました。

「ジャクソンホール会議」とは

ジャクソンホールのシンポジウムは西部 ワイオミング州にあるロッキー山脈を一望できる高原リゾート地のホテルで開催されます。

「ジャクソンホール会議」とも呼ばれています。

FRB=連邦準備制度理事会を構成する地区連銀の1つ、カンザスシティ連銀が主催しており、1978年に別の場所で始まった歴史ある会議です。

1982年から、会場は今のジャクソンホールとなり、アメリカやユーロ圏、イギリス、カナダ、日本など、主要な国の中央銀行総裁や幹部、経済学者、著名なエコノミストが参加し、世界経済や金融政策の中長期的な課題を議論します。

過去には、このシンポジウムでの中央銀行幹部の発言によって株式や為替など金融市場が大きく動いたことが何度もあったため、注目を集めるようになりました。

2010年8月の会合では、当時のFRBのバーナンキ議長が、追加の金融緩和を示唆する発言をしたほか、2014年8月には、ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁が一段の金融緩和を示唆しました。

また、去年はパウエル議長が講演で、記録的なインフレを抑え込むための金融引き締めについて「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べて、利上げを継続する姿勢を鮮明にしました。

市場では、FRBが景気に配慮して利上げペースを緩めるとの楽観的な見方も出ていたため、パウエル議長の発言を受けて、景気が冷え込むことへの警戒感が高まって、売り注文が膨らみ、ダウ平均株価は1000ドルを超える急落となりました。

こうしたことから、ジャクソンホールのシンポジウムは、その後の金融政策を方向付ける重要なメッセージを発信する場になっていると、多くの市場関係者が受け止めています。