柔道 パリ五輪代表に 女子78キロ超 素根輝など 新たに6人内定

全日本柔道連盟は、来年のパリオリンピックの代表に東京大会で金メダルを獲得した女子78キロを超えるクラスの素根輝選手など6人が新たに内定したと発表しました。

全日本柔道連盟は23日、オンラインで強化委員会を開き、来年のパリオリンピックの代表選手について審議しました。

その結果、男女合わせて6人の選手が新たに代表に内定しました。

女子では、東京オリンピックの金メダリストで、
▽78キロを超えるクラスの素根選手のほか、
▽57キロ級の舟久保遥香選手が初めて内定しました。

男子では、
▽東京大会の金メダリストで、81キロ級の永瀬貴規選手が内定したほか、
▽100キロを超えるクラスの斉藤立選手
▽90キロ級の村尾三四郎選手
▽73キロ級の橋本壮市選手が、
それぞれ初めての内定となりました。

このうち、女子78キロを超えるクラスでは、素根選手がことし5月の世界選手権を制したあとの8月の国際大会、ワールドマスターズを欠場していましたが、この階級の代表を争っていた冨田若春選手が、ワールドマスターズの初戦で敗れていて、2人の差が明確だと判断されたということです。

また、委員会では、階級によっては、代表を争っているほかの選手との差を見極めるため、ことし12月の国際大会、グランドスラム東京までの結果を見たうえで判断してもいいのではないかという意見も出ましたが、最終的にはいずれも原案どおり6人の内定が認められました。

女子78キロ超 素根輝選手とは

柔道女子78キロを超えるクラスの素根輝選手は、福岡県出身の23歳。

身長は、1メートル60センチ余りで、この階級の選手としては小柄ですが、相手の懐に入っての背負い投げや大内刈りを得意にしています。

おととしの東京オリンピックでは、準決勝までの3試合ですべて一本勝ちを収める安定感を見せて金メダルを獲得し、日本勢として、この階級で2004年、アテネ大会の塚田真希さん以来となる頂点に立ちました。

そして、左ひざの手術から復帰したあとの去年8月には、およそ1年ぶりとなる国際大会で優勝し、ことし5月の世界選手権では、決勝で10分を超える試合を制して、2019年以来、2回目の金メダルを獲得していました。

女子57キロ級 舟久保遥香選手とは 

女子57キロ級の舟久保遥香選手は、山梨県出身の24歳で、寝技を得意としています。

去年10月の世界選手権では、決勝でリオデジャネイロオリンピックの金メダリストに敗れて2位でした。

その後、12月の国際大会、グランドスラム東京では、東京オリンピックの銅メダリスト、芳田司選手に勝って優勝しました。

そして、ことしに入ると、5月の世界選手権で2年連続となる2位となり、7月に行われたオリンピックと世界選手権に次ぐ国際大会、ワールドマスターズでは3位と実績を重ねていました。

男子73キロ級 橋本壮市選手とは

柔道男子73キロ級の橋本壮市選手は、静岡県浜松市出身の31歳。

左腕1本で相手をつかんで投げる独特なグリップの袖釣り込み腰が最大の持ち味で、組み手のうまさにも定評がある選手です。

橋本選手は、この階級でオリンピック2連覇を果たした大野将平選手を追う立場として、長年、代表争いを続けてきました。

大野選手は、パリオリンピックを目指さない意向を示した一方、橋本選手は精力的に大会に出場し、去年12月の国際大会、グランドスラム東京で優勝したほか、ことし5月の世界選手権では、3位の成績を残していました。

そして、8月には、オリンピックと世界選手権に次ぐ格の国際大会、ワールドマスターズを4年ぶりに制し、73キロ級で際だった存在感を示していました。

男子81キロ級 永瀬貴規選手とは

柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手は、長崎県出身の29歳。

長い手足を生かした足技を得意としていて、巧みな体の使い方で外国選手のパワーをいなす高い技術も持ち味です。

2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、銅メダルを獲得し、東京大会では、日本勢として、この階級で5大会ぶりとなる金メダルを獲得しました。

その後の国際大会では、優勝こそ逃していますが、去年とことしの世界選手権は3位、8月の国際大会、ワールドマスターズでも3位と、安定した成績を収めていました。

男子90キロ級 村尾三四郎選手とは

男子90キロ級の村尾三四郎選手はアメリカ出身の22歳。

長い手足を生かした内股や大外刈りといった投げ技が持ち味で、大学時代には国内トップレベルの選手が出場する講道館杯を2連覇するなど注目を集めました。

去年12月にはオリンピック、世界選手権に次ぐ格の国際大会、ワールドマスターズで優勝を果たすと、ことし5月の世界選手権では3位になるなど大きな国際大会で成績を残していました。

男子100キロ超 斉藤立選手とは

男子100キロを超えるクラスの斉藤立選手は、大阪府出身の21歳。

オリンピック2連覇を果たした斉藤仁さんの次男で、父の出身校でもある国士舘大学の4年生です。

身長1メートル90センチ、体重は160キロを超え、スピードとキレのある内股や体落としなどの投げ技を得意にしています。

重量級の将来を担う存在として、ジュニア時代から注目されてきました。

国士舘大学に入学後は、けがで苦しんだ時期もありましたが、大学3年生となった去年4月、体重無差別で柔道の日本一を決める全日本選手権を制し、親子2代での大会制覇を果たしました。

去年の世界選手権では2位、オリンピックと世界選手権に次ぐ位置づけの国際大会、ワールドマスターズでは初優勝を果たし、ことしも8月のワールドマスターズで3位と、主要な国際大会でもメダルを獲得してきました。

男子日本代表 鈴木桂治監督「課題を克服」

男子日本代表の鈴木桂治監督は「試合で出る課題が必ずあるので代表に内定したあとも大会派遣はしっかりと行って明確になった課題を克服するという形で進めていきたい」と話していました。

また、鈴木監督がオリンピックで金メダルを獲得した100キロを超えるクラスで内定した斉藤立選手について「荒削りな部分が多く、まだまだ修正していくところはたくさんあると思うが、オリンピックまでの期間を十分に活用しながらオリンピックの金メダリストになるような選手に仕上げていきたい」と話していました。

女子日本代表の増地克之監督は「オリンピックに向けて課題の確認作業が必要になると思うので、勝敗に一喜一憂せず、ピークをしっかりとオリンピックに持っていけるようにサポートしていきたい」と話していました。