脱炭素社会へ 1兆2000億円余要求へ GX実行会議で報告

脱炭素社会の実現に向けて経済産業省や環境省など関係省庁は、新たな国債を活用し、水素の製造に向けた設備投資や、次世代型の原子炉の研究開発などを支援する費用として、来年度予算案の概算要求に総額1兆2000億円余りを盛り込むことになりました。

政府は総理大臣官邸で「GX=グリーントランスフォーメーション実行会議」を開き、岸田総理大臣や西村経済産業大臣、経団連の十倉会長などが出席しました。

会議では経済産業省や環境省など関係する省庁が、来年度当初予算案の概算要求に新たな国債、「GX経済移行債」を活用した投資促進策として総額1兆2000億円余りを盛り込むことが報告されました。

具体的には、水素を製造する装置や蓄電池などへの設備投資や、「高温ガス炉」などの次世代型の原子炉の研究開発などの支援が盛り込まれるということです。

さらに、金額を明示しない「事項要求」として、水素と化石燃料との価格差を埋める支援策なども盛り込まれ、今回の投資促進策には、再来年度以降も含めると2兆円を超える資金を充てるとしています。

また、会議では年末までに、水素やアンモニア、自動車、鉄鋼などの分野別に、脱炭素化に向けて必要になる投資規模や技術開発などを盛り込んだ、来年度から5年間の行動計画を策定し、民間企業の投資や取り組みを加速させていく方針も確認されました。

岸田首相「構想を迅速に効果的に実行していく」

岸田総理大臣は実行会議で、「世界の主要国でGXに関する政策競争が加速している。経済成長と脱炭素の二兎(と)を追う政策競争の中で、わが国が掲げた成長志向型カーボンプライシングの構想を迅速に効果的に実行していく。その成否は21世紀前半のわが国の経済力を大きく左右するとの認識を持って、政府を挙げて取り組んでいく」と述べました。