シベリア抑留犠牲者の追悼式 元抑留者“遺骨収集推進を” 東京

終戦直後、シベリアなどに抑留され、過酷な労働を強いられて亡くなった人たちを追悼する式典が都内で開かれ、元抑留者が国による遺骨収集を進めるよう訴えました。

8月23日は78年前に、旧ソビエトが元日本兵や民間人をシベリアなどに移送する指令を出した、いわゆる「シベリア抑留」が始まったとされる日です。

東京 千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑では元抑留者や遺族などで作る団体が追悼式を開き、およそ150人が参列して黙とうをささげました。

厚生労働省によりますと、抑留され犠牲になったおよそ5万5000人のうち、いまも3万2000を超える人たちの遺骨が日本に帰ってきていませんが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて遺骨収集は中断されているということです。

式典では4年間、シベリアに抑留された97歳の新関省二さんが「遺骨の3分の2は現地に眠ったままです。国が責任をもって犠牲者を追悼し、実態解明を進めてほしい」と述べ、遺骨の収集を進めるよう訴えました。

そして、ロシアの軍事侵攻については「『戦争は私たちの代で終わりにしてほしい』と、亡くなった戦友たちも強く願っていると思う。ロシアが1日でも早く間違いに気付き、軍事侵攻を中止するよう願うばかりだ」と述べました。

式典のあと、参列した元抑留者の西倉勝さん(98)は「厳しい寒さの中での過酷な労働の記憶は今も鮮明に残っています。ロシアの軍事侵攻は今も続いていますが、若い世代には『決して戦争を起こしてはならない』と、今後も伝えていきたい」と話していました。