ガソリン小売価格 1リットル183.7円 最高値に迫る水準

レギュラーガソリンの小売価格は21日時点の全国平均で、1リットル当たり183.7円となり、先週から1.8円値上がりしました。値上がりは14週連続で、15年ぶりの高値が続いています。

国の委託を受けてガソリン価格の調査をしている石油情報センターによりますと、レギュラーガソリンの小売価格は21日時点の全国平均で183.7円、先週から1.8円値上がりしました。

値上がりは14週連続で、2008年8月以来、15年ぶりの高値が続いていて、統計が公表され始めてから最高値の185.1円に迫る水準となっています。

これは
▽国からの補助金がことし1月以降、段階的に縮小されていることや
▽主要な産油国のサウジアラビアが原油の自主的な追加減産を延長すると発表し、価格が高止まりしていること、
さらに
▽円安に伴う輸入価格が上昇していることが要因です。

ただ、経済産業省は、補助金によってガソリン価格は12円抑制されたとしています。

また、24日以降、各地のガソリンスタンドに卸される分から、1リットル当たり10円の補助金を支給することにしています。

今後の見通しについて石油情報センターは、「中国経済が減速するという懸念から原油価格の先行きに慎重な見方も出ているが、円安傾向により原油の輸入価格は高い状況が続くため、来週も値上がりが予想される」と話しています。

全国と比べてガソリン価格が高い山形県では

山形県では21日時点でのレギュラーガソリンの県内での平均小売価格が1リットル当たり189.4円と、4週連続で過去最高値を上回り、県内のガソリンスタンドでは1リットル当たり190円を超えているところもあります。

山形県の1世帯当たりの車の保有台数は令和2年3月時点で2.23台にのぼり、車が日常生活に欠かせない移動手段となる中、ガソリン価格の高騰は大きな打撃です。

こうした中、今月から山形市で新たに営業を始めたガソリンスタンドでは、期間限定でレギュラーガソリンなどを低価格で提供しています。

21日はレギュラーガソリンを1リットル当たり163円と、県内の平均小売価格と比べて26円ほど安く販売し、多くの客が価格が低いガソリンを求めて店を訪れました。

給油に訪れた30代の女性は「子どもがいて熱中症も怖いので、エアコンをつけて運転するしかない。ガソリン代が高いので頻繁に給油することをためらってしまう。ガソリン代だけでなく、食費も電気代も高いので、すごく困っている」と話していました。

このガソリンスタンドを経営する会社の高橋淳一取締役は「車は山形県民にとって生活必需品だ。ただでさえ価格が高騰しているガソリンを私たちの会社ではプライベートブランドとして安く提供している。利用者に少しでも喜んでもらえれば」と話しています。

山形県内のガソリン価格が全国と比べて高い要因について、石油流通論が専門の桃山学院大学の小嶌正稔教授は
▽山形県は大型の油槽所から距離が遠く、輸送費が高くなること
▽県内では人口当たりのガソリンスタンドの数が多く、1店舗当たりの売り上げが少ないため、価格を上げて利益を確保する必要があること
▽フルサービスのガソリンスタンドの割合が全国平均よりも高いことなどが影響していると分析しています。

今後の見通しについて小嶌教授は「ガソリン価格の高騰が続いているのは、原油価格の上昇と円安が進んでいることが主な原因だ。政府の補助金が9月末まで削減が続くため、卸売価格が1週間に10%ほど上がっている。この状況が続けば、レギュラーガソリンの価格が過去最高の1リットル当たり200円を超える可能性もある」と指摘しています。

山形県の企業の中には“越境給油”で経費削減を図る動きも

山形県の企業の中には、宮城県や新潟県など、比較的価格が安い隣県に移動した時に給油する“越境給油”で経費削減を図る動きもあります。

山形県米沢市で鉄工所を経営している庄司恵一さんは県内外の取引先への商品の納入などで8トントラックと商用バンを利用しているほか、商品の積み降ろしにフォークリフトを使っていて、月におよそ300リットルの軽油を消費するといいます。

庄司さんは「燃料の価格高騰が経営を圧迫しているが、燃料だけでなく、原材料なども値上がりし、経費がかさんでいるので、経営が厳しくなっている」と不安な心境を明かしていました。

庄司さんはガソリンや軽油の価格が高騰する中、価格が高い県内での給油を避け、比較的価格が安い新潟県や宮城県の取り引き先を訪問する際に給油しているということです。

庄司さんによりますと、県内で給油した場合と比べて、多いときで月におよそ1万8000円、率にして2割程度の経費削減につながったということです。

また、庄司さんの鉄工所では取引先を訪問する際、高速道路を使わずに一般道を使うなど、地道な経費削減を積み重ねているということです。

庄司さんは「営業や商品の搬入で車両を使う頻度を減らすことは難しい。ガソリン代が上がり続ければ事業をやめたり、車を使わなくなる人も多くなるだろう。現場は工夫しながらやりくりしているので、国にも減税や補助の増額を検討するなどしてほしい」と話していました。