【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(23日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ空軍「ロシア軍の無人機11機を撃墜した」

ウクライナ空軍は23日、ロシア軍が無人機あわせて20機を使って攻撃を仕掛け、このうち南部オデーサ州などであわせて11機を撃墜したと発表しました。

けが人は出ていないものの、オデーサ州のドナウ川流域の穀物の貯蔵施設などが攻撃され、火災が発生したとしています。

黒海に面したオデーサの港では今月16日、ウクライナ側が設けた臨時航路を使っておよそ1か月ぶりに貨物船が出たばかりですが、ロシア軍による攻撃が繰り返され港湾インフラなどが被害を受けています。

ロシア ベルゴロド州知事「住民3人が死亡」

ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州の知事は23日、無人機による攻撃で住民3人が死亡したとSNSに投稿しました。

ロシア国防省「モスクワに向けて3機の無人機攻撃」

ロシア国防省は23日未明(日本時間23日午前)、首都モスクワに向けて3機の無人機による攻撃が仕掛けられたと発表しました。

このうち1機は、モスクワ中心部から西におよそ5キロのビジネス街「モスクワシティ」にある建設中のビルに衝突したとしています。ほかの2機は、モスクワの北部と西部の近郊で撃墜し、いずれもけが人はなかったとしています。

ロシア国防省はウクライナ側による攻撃だと主張していますが、根拠は示していません。

また、モスクワのソビャーニン市長は無人機が「モスクワシティ」にあるビルに衝突した影響で、近くの5階建ての建物の窓ガラスが割れる被害が出たものの、けが人の情報はないとSNSに投稿しました。

「モスクワシティ」では先月30日と今月1日にも無人機が墜落し、建物の一部が損壊する被害が出たほか、18日には近くに落下するなどしていてロシア側は警戒を強めています。

無人機墜落 周辺住民からは不安の声

ロシアの首都モスクワで無人機が再びビジネス街に墜落しビルに衝突した事態に、周辺住民からは不安の声が聞かれました。

無人機が衝突したビルに近い集合住宅に住む女性は「恐ろしい夢を見ているようでした。ベッドが揺れるほどでした。私たちのところにも無人機が飛んできたらと思うと怖いです」と不安を募らせていました。

別の女性は「いくつか窓ガラスが吹き飛び、窓枠がゆがむほどでした。敵は皆を怖がらせたいのです」と話し、憤りをあらわにしていました。

一方、ビジネス街で働いているという男性は「防衛体制を向上させなければいけません。ここは人口密度の高い地域なので、無人機が住宅地に直撃すれば、多くの犠牲者が出るでしょう」と話し、政府が対策を講じるべきだと訴えていました。

ウクライナ国防次官「技術的な優位性で勝利する」

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始してから24日で1年半になるのを前に、ウクライナのハブリロフ国防次官がNHKのインタビューに応じ、「私たちは技術的な優位性で勝利する」と述べ、欧米から供与された戦車などの兵器とともに、最新の技術を取り入れた無人機も活用しながら勝利を目指す考えを強調しました。

ウクライナは、6月から反転攻勢を行っていますが、期待されたほど前進していないのではないかと欧米の専門家などによって指摘されています。

これについてハブリロフ国防次官は「私たちは一歩ずつ進んでおり、どれだけ時間がかかっても必ず勝利する」と述べ、作戦は着実に進んでいると強調しました。具体的な戦果として、今月中旬に東部ドネツク州のウロジャイネを奪還したことを挙げました。

そのうえで、ウクライナ軍の戦術に関して「この戦争では砲撃とそれによる破壊が重要である。ただ、私たちは、技術的な優位性で勝利する。特に無人機に関して新しい技術を導入しなければならない」と述べ、欧米から供与された戦車などの兵器とともに最新の技術を取り入れた無人機も活用しながら、勝利を目指す考えを強調しました。

一方、ハブリロフ次官は日本からの支援について、医療や地雷除去など様々な分野での支援に感謝の意を表明したうえで、支援の継続などに期待を示しました。

ロシアメディア「空軍の総司令官スロビキン氏を解任」

ロシアの一部メディアは、ことし6月に武装反乱を起こしたロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏と関係が近いとされていた空軍の総司令官セルゲイ・スロビキン氏について「解任された」と相次いで伝えました。

ロシアの新聞「RBK」の電子版は22日、関係筋の話としてロシア空軍の総司令官セルゲイ・スロビキン氏について、「異動のため職を解かれ、国防省の裁量に委ねられている。現在休暇中だ」と伝えています。そのうえで、ウクライナへの軍事侵攻を進める副司令官のポストもあわせて解任されたと報じています。

また、政権に批判的なラジオ局の編集長だったベネディクトフ氏は、スロビキン氏は、大統領令によって解任されたとSNSに投稿しました。

政権側から公式の発表はなく詳しいことは分かっていませんが、スロビキン氏は、ことし6月に武装反乱を起こしたロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏と関係が近いとされていました。

スロビキン氏は、武装反乱の計画を事前に把握していたとも伝えられるなかでその消息に関心が集まっています。

ウクライナ国防省 南部要衝につながる集落に進軍と発表

ウクライナ国防省のマリャル次官は22日、ウクライナ軍の精鋭部隊、第47独立機械化旅団が、南部ザポリージャ州のロボティネに進軍したと発表しました。ロシア軍による強固な防衛が続く地域での戦果だとして、戦術的に重要だという見方も出ています。

現地だとする映像には、砲撃のような音が聞こえる中、避難してきたとみられる人々が兵士たちに抱きつき、涙を流しながら感謝する様子がうつされています。

ロボティネは、交通の要衝トクマクにつながる集落で、南西およそ70キロ先にはアゾフ海に近い主要都市メリトポリがあります。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は21日、ロボティネ周辺には、ロシア軍が設置した地雷原が広がっているとして、強固な防衛が続く地域での戦果だとして、戦術的に重要だという見方を示しました。

一方、ロシアで22日は「国旗の日」に定められています。ウクライナ軍が反転攻勢で進軍を目指すとされる東部の要衝マリウポリでは、人々が巨大なロシアの国旗を手に持って祝う催しが開かれ、ロシアによる支配が続いていると強調するねらいもあるとみられます。

ウクライナ政府 “クリミア奪還は軍事力で” 強調

ウクライナ政府は、ゼレンスキー大統領が9年前にロシアに一方的に併合されたクリミアの奪還を目指しておととし立ち上げたクリミア・プラットフォームと呼ばれる国際会議を23日開きます。

これを前に22日、ウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は「ウクライナはクリミアを奪還しなければならない。おそらく軍事的手段によって取り戻すことになるだろう。ほかに選択肢はない」と述べました。

その上で、ロシアをクリミアから追い出すことによってのみわれわれの安全は一定期間、保証されるとして、軍事力でクリミアを奪還する必要性を強調しました。

アメリカメディアの一部は、ウクライナは、反転攻勢によって領土を大きく取り返しクリミアに迫った上でロシア側との停戦交渉に持ち込む計画があるとこれまで伝えていましたが、ダニロフ書記としては、クリミア奪還を目指す方針を強調したものです。

クリミアをめぐっては、軍の施設などで火災が相次ぎロシア側は警戒を強めています。ウクライナも、クリミアとロシアをつなぐ橋の攻撃に関与したことを認めるなど、ウクライナ側は、クリミアや周辺での攻撃を強化しているとみられています。