気象庁3か月予報 9月以降も厳しい残暑 “夏バテ”に注意

全国的に猛烈な暑さが続いていますが、気象庁が発表した長期予報によりますと、9月から11月にかけての3か月間も暖かい空気に覆われやすく、広い範囲で気温が平年より高い傾向が予想されています。特に9月は、東日本や西日本を中心に猛烈な暑さとなる日もあり、厳しい残暑が続く見込みです。
専門家は、熱中症だけでなく、「夏バテ」にも注意を呼びかけています。

気温は広い範囲で高めの傾向 秋も熱中症対策を

気象庁は22日、9月から11月にかけての3か月の予報を発表しました。

それによりますと、エルニーニョ現象によって赤道付近で積乱雲の活動が非常に活発となり、大気の温度が高いうえ、地球温暖化の影響も加わって、日本付近は暖かい空気に覆われやすい見込みです。

このため3か月をとおした気温は、
▼東日本と西日本、沖縄・奄美で平年より高く、
▼北日本では平年並みか高いと予想されています。

9月と10月は全国的に平年より高くなり、東日本や西日本を中心に、9月は猛烈な暑さとなる日が例年よりも多くなるおそれがあり、厳しい残暑が続くほか、10月にも真夏日となる可能性があるということです。

11月は
▽沖縄・奄美で平年より高く、
▽東日本と西日本では平年並みか平年より高いと見込まれ、
▽北日本ではほぼ平年並みと予想されています。

降水量は平年並みか多い見込み

前線や湿った空気の影響を受けやすいため、向こう3か月の降水量は
▽東日本と西日本の太平洋側と沖縄・奄美で平年並みか平年より多く、
▽東日本と西日本の日本海側と北日本でほぼ平年並みの予想です。

月別にみますと、9月は
▽東日本の太平洋側と西日本、沖縄・奄美で平年並みか平年より多く、
▽東日本の日本海側と北日本でほぼ平年並みと予想されています。

10月と11月は全国的にほぼ平年並みの降水量が予想されています。

気象庁異常気象情報センター 楳田貴郁 所長
エルニーニョ現象の影響といえば気温が低くなると思うかもしれないが、熱帯の大気の温度が引き続き高く、その影響が日本付近に及ぶとみている。厳しい残暑で熱中症の危険性が高い状態が続くと予想されるので、注意してほしい。

専門家 “9月以降も夏バテに注意”

9月も厳しい残暑が続くと予想されていることから、自律神経に詳しい専門家は、熱中症だけでなく、「夏バテ」にも注意が必要だと指摘しています。

順天堂大学医学部の小林 弘幸教授によりますと、「夏バテ」は暑さによる自律神経の乱れなどが原因で、けん怠感や不眠、それに便秘や食欲の不振などがでる症状です。

ことしは猛烈な暑さが続いていることや、新型コロナが「5類」に移行してから初めての夏で、ひさしぶりに外出する人が増えている影響などで、夏バテとみられる症状を訴えて病院の外来を受診しに来る人が去年の同じ時期と比べて2倍から3倍ほどに増えているということです。

小林教授は、「日中と夜の寒暖差が大きくなっていく9月以降も猛烈な暑さが続くと、夏バテになる人が増えるおそれもある。対策としては、まずは食事、睡眠、運動の3つを意識することが大切だと」指摘しています。具体的には…

食事は
▼朝食は欠かさずにとること
▼よくかんで食べることなどをあげています。

睡眠は
▼寝る前の3時間には食事をとらないことや
▼寝る1時間前までに入浴を済ませること
▼体内時計が乱れることから寝る直前に携帯電話の操作をしないことなどをあげています。

運動は
▼ストレッチやスクワットなどを取り入れるほか
▼ふだんからできることとして、エスカレーターではなくなるべく階段を使うことが大切だということです。

順天堂大学医学部 小林 弘幸 教授
夏バテをしないように生活習慣を見直し、残暑を乗り切ってほしい。

農作物に影響も

残暑の影響は、秋冬の農作物にも及ぶ可能性があります。

東京・国立市の西野耕太さんの農園では、露地栽培で米や野菜などおよそ40品目を育てています。

今年の夏は、暑さで先端が茶色に変色したり、形が曲がったりしたため、通常どおり出荷できない野菜もあり、農家にとって厳しい状況が続いています。

西野さんの農園では、8月下旬のこの時期は、年末に向けて出荷予定のブロッコリーの種まきを行う時期にあたります。

種をまいたあと、気温が高いと、発芽しても枯れやすくなるため、苗の管理が難しいといいます。

また9月には、例年、じゃがいもの植え付けを行っていますが、気温が高いまま秋になると畑の土の温度が高すぎていもが腐ってしまうため、植え付けの時期を慎重に見極めているということです。

今後も暑さが続く見通しについて 西野耕太さんは
野菜の成長や種まきに影響はでてくるのであまり好ましくはないです。工夫はしますが、これから先も猛暑日が続くとなると対応にも限界があります。やれることはやりますが、厳しいかなと思います。

“暑くても売れる秋物衣料品”が人気

百貨店では、涼しく着られるデザインの秋物の売れ行きが好調だということです。

東京・日本橋の百貨店の、婦人服を扱うセレクトショップでは、7月半ば頃から夏物の商品が少なくなり、お盆明けからは売り場の9割を秋物の商品に切り替えています。

厳しい暑さが続く中でも、秋の新作の売れ行きが好調だということで、8月1日から21日までの売り上げは去年の同じ時期と比べておよそ2倍になっているということです。

暑い中でも売れる秋物商品として衣料品ブランドから、秋らしい色合いで素材はコットンなど着心地が涼しい服や、ツイードなど秋を感じさせる生地の半袖やノースリーブの商品など、涼しく着られる衣料品が開発されていることから、百貨店では、こうした秋物の仕入れを強化しています。

また、国内の旅行者や海外からの観光客の来店も増えていて、秋物の商品が売れているということです。

日本橋高島屋 ショップマネージャー 浄内絵理さん
まだまだ酷暑で暑い時期が続きますが、秋らしい色みで、素材感は着ていただきやすい、涼しいアイテムを多数とりそろえておりますので、そういった形で秋のファッションを楽しんでいただければ。