ジブリ出身者たちのアニメスタジオ 新作公開へ ことし12月に

数々のヒット作品を生み出してきた「スタジオジブリ」出身のプロデューサーやアニメーターたちが中心となっているアニメスタジオ「スタジオポノック」の新作映画が、ことし12月に公開されることになり、21日、都内で記者会見が行われました。

手描きアニメのこだわり引き継ぐ

百瀬義行 監督

「スタジオポノック」は、2013年に宮崎駿監督が長編アニメ制作からの引退を宣言した後、「スタジオジブリ」が制作部門を一時的に解散したことを受けて、手描きアニメのこだわりを引き継ごうと2015年に設立されたアニメスタジオで、ジブリを離れたアニメーターやスタッフたちが中心となって活躍しています。

記者会見では、かつてジブリで映画「かぐや姫の物語」をプロデュースした「スタジオポノック」の西村義明プロデューサーが挨拶し、「10年前には、『かぐや姫の物語』の高畑勲監督が会見場に立っていましたが、その右腕だった百瀬義行監督と一緒に制作報告ができることが感慨深い」と語りました。

「スタジオポノック」の新作映画、「屋根裏のラジャー」は、ある少女の空想の中に存在する友達の少年「ラジャー」が、人間に忘れられると消えてしまうという運命に向き合い、仲間たちと冒険するファンタジー作品です。

百瀬監督は、作品について「従来の絵からキャラクターの質感を変え、手描きのアニメで肌の下に血管がある皮膚の感じを追求しました。それが実現できたと思っているし、内容にもマッチしていると思う」と手応えを語りました。

映画の公開はことし12月15日に予定されています。

「ジブリの先に行こうという思いで」

西村義明プロデューサー

スタジオポノックを立ち上げたのは、映画「かぐや姫の物語」などの制作に携わったプロデューサーの西村義明さんです。

2013年に宮崎駿監督が長編アニメの制作からの引退を表明し、翌年、スタジオジブリが制作部門を一時的に解散したことを受け、2015年に設立され、ジブリを離れたアニメーターやスタッフが中心となって活躍しています。

スタジオジブリ作品の特徴でもある緻密な手描きアニメの技術を引き継ごうとしていて、これまでに、長編アニメ映画の「メアリと魔女の花」や、3人の監督の短編作品を集めた「ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間ー」などの作品を発表しています。

また、宮崎駿監督が長編アニメ制作からの引退を撤回して10年ぶりに監督を務めた「君たちはどう生きるか」の制作にも協力しています。

西村プロデューサーは21日の会見で、スタジオジブリについて、「アニメ映画の制作は挑戦の連続で、“地獄の道”を切り開いてくれた先輩がいるのはありがたい。映画の作り手というのはあるとき道を切り開くのを止める瞬間が必ず来るし、僕たちはその先を切り開こうという覚悟を持っているので、ジブリの先に行こうという思いで1本1本作りたい」と話していました。

声優のコメント

ラジャー/寺田 心

主人公「ラジャー」の声優を務める寺田心さん
オーディションの前にラジャーの絵とセリフに触れて絶対に僕が演じたいと思っていました。ラジャーが何を見て何を感じているのかが僕の中に入ってきて、一緒に冒険するような感覚でした。

リジー/安藤サクラ

主人公の少年、「ラジャー」を空想した少女の母親役を務める安藤サクラさん
私は俳優なので、想像力の中で暮らしている時間がとても多いし、生まれたときから自分の想像力と現実の自分が寄り添っています。大人になってから、私は変なのかなと悩んでいた時期だったので、この作品に助けられました。原作を娘にも読み聞かせているので、早く映画になったものを見せたいと思っています。

ミスター・バンティング/イッセー尾形

主人公の「ラジャー」を付け狙う謎の男の声優を務めるイッセー尾形さん
打ち合わせで絵を見せてもらったとたん、キャラクターの顔に親近感が湧いて、この役は私以外にいないだろうと思いました。予告編を見るとすごいインパクトで素晴らしかったです。