中国の中央銀行、中国人民銀行は21日、事実上の政策金利とされる「LPR」という金利のうち、金融機関が企業などに融資を行う際の目安となる1年ものの金利を0.1%引き下げて、3.45%としました。
中国人民銀行は、ことし6月に、この金利を引き下げたばかりです。
中国では、不動産市場の低迷が長期化し、関連する企業の経営に不安が広がっていることに加えて、輸出が大きく減少するなど、景気回復の勢いが鈍くなっています。
また、7月の消費者物価指数が、去年の同じ月と比べて2年5か月ぶりにマイナスとなり、デフレを懸念する声も出始めています。
このため短期間で、追加の金融緩和に踏み切ることで、企業向けの貸し出しや、不動産市場への資金供給を増やし、景気を下支えするねらいがあるとみられます。
ただ、金融緩和で需要が回復するかどうかは不透明だという指摘もあり、今回の金融緩和で、実体経済に資金がどこまで回るかが焦点となります。
中国 利下げを発表「LPR」1年もの金利0.1%↓ 景気回復鈍化で
中国の中央銀行、中国人民銀行は事実上の政策金利を引き下げると発表しました。景気回復の勢いの鈍化が鮮明になる中、景気を下支えするねらいがあるとみられます。
利下げに踏み切った背景は
中国人民銀行が利下げに踏み切った背景には、ゼロコロナ政策解除以降の中国の景気回復が思うように進んでいないことがあります。
7月17日に発表されたことし4月から6月までのGDP=国内総生産の伸び率は、上海など各地で行われた厳しい外出制限の影響が広がっていた去年の同じ時期と比べてプラス6.3%でした。
ただ、前の3か月と比べた伸び率は0.8%にとどまり、回復の勢いは減速しました。
その後も経済の弱さを示す経済指標の発表が相次いでいます。
▽7月31日に発表された、製造業の景況感を示す指数は、景気判断の節目となる「50」を4か月連続で下回ったほか、
▽8月15日に発表された「工業生産」と「小売業の売上高」は、いずれも前の月から伸び率が縮小するなど、
景気回復の鈍化が鮮明になりました。
不動産市場の低迷は長期化し、関連する企業の業績が悪化しているほか、家具や家電などの消費は低調で、消費者の節約志向も強まっています。
若者の失業率も悪化し、国内の需要の回復は力強さを欠いた状態が続いています。
また、8月8日に発表された貿易統計では、7月の輸出額が去年の同じ月と比べて14.5%の大幅な減少となり、輸出が減り企業の生産も伸び悩むという悪循環に陥っています。
さらに7月の消費者物価指数は2年5か月ぶりにマイナスとなり、デフレを懸念する声も出始めています。
こうした中、中国政府は、内需拡大に力を入れる方針を示していて、中国人民銀行は、利下げによって、企業向けの貸し出しや、不動産市場への資金供給を増やし、景気を下支えするねらいがあるとみられます。