高校野球 大会連覇をねらう仙台育英が花巻東に勝利

夏の全国高校野球、準々決勝の第4試合は大会連覇をねらう宮城の仙台育英高校が岩手の花巻東高校に9対4で勝って、ベスト4に進みました。

連覇をねらう仙台育英は3回、5番・尾形樹人選手の2点タイムリーツーベースヒットなどで4点を先制しました。

続く4回には4番・齋藤陽選手の2点タイムリーヒットなどで4点を追加して、8対0と試合の主導権を握りました。

投げては先発の湯田統真投手が、19日最速151キロのストレートと鋭く落ちる変化球を織り交ぜて、4回をヒット1本に抑えるなど4人の投手陣が8回まで花巻東打線をヒット2本に抑え得点を与えませんでした。

仙台育英は9回に4点を返されましたが、最後はピンチをしのいで花巻東に9対4で勝ち、ベスト4進出を決めました。

花巻東は9点を追う9回に6番・廣内駿汰選手など3本のタイムリーヒットなどで4点を返しましたが、続くチャンスで今大会注目の強打者、佐々木麟太郎選手がセカンドゴロに倒れ、およびませんでした。

花巻東 佐々木麟太郎 仲間に感謝の最終打席

今大会注目注目の強打者、花巻東高校の佐々木麟太郎選手。

高校最後の打席は逆転を信じるチームメートがつないでくれた感謝の打席となりました。

佐々木選手は高校通算で140本のホームランを打った強打者ですが「チームが勝利することが一番の貢献」と考えていて、今大会も3回戦までに打った6本のヒットすべてがセンターからレフトのいわゆる逆方向に打ち返すなどチームバッティングに徹していました。

仙台育英高校と対戦した19日の準々決勝では8回ツーアウト一塁二塁のチャンスで迎えた第4打席で3球で見逃し三振に倒れるなど3打数ノーヒットでした。

9回は9点を追う苦しい展開でしたが、佐々木選手がベンチで目にしたのは「麟太郎までまわすぞ」と声を掛け合うチームメートの姿でした。

佐々木選手もその時が来るのを信じてバッティンググローブをつけ、ヘルメットをかぶったまま準備していると3年生の6番・廣内駿汰選手が「麟太郎がチームのためにプレーしてくれて、そのおかげで勝てた試合もたくさんあったので、まわせば何かあると思った」とタイムリーヒットで1点を返しました。

このあとも打線がつながり3点を返しツーアウトと追い込まれましたが、2番・熊谷陸選手がヒットでつないで、この回9人目のバッター佐々木選手まで打順が回ったのです。

佐々木選手は「まさか本当に回ってくるとは」と驚きながらも「しっかり振ることが仲間への恩返し」とチームメートへの感謝の思いを胸に打席へ向かいました。

そして、ツーボールツーストライクと追い込まれて迎えた5球目をコンパクトに振った打球は一二塁間に飛びました。

体重113キロの大きな体で懸命に走り、一塁へヘッドスライディング。

惜しくもアウトとなって試合が終わると、泥だらけになった顔とユニフォームをぬぐうことなく、外野の方を見たまましばらく立ち上がることができませんでした。

佐々木選手は試合後、およそ20分の取材時間で「打順をまわしてくれて幸せでした。苦しい時期もあってプレッシャーもありましたが、みんなに支えられて、みんなにありがとうという気持ちです」とチームメートへの感謝のことばを繰り返し、涙が止まることはありませんでした。

仲間と支え合ったスラッガーの夏が終わりました。

《両チーム談話》

花巻東 佐々木麟太郎選手「率直に悔しい」

試合後、涙を見せた花巻東高校の佐々木麟太郎選手は、「負けてしまったことは率直に悔しいです。甲子園でここまで戦うことができたのは、たくさんの人の支えがあったからだと思うので、その人たちに感謝の気持ちを伝えたいです」と話しました。

また、9回最後の打席については「みんなが『麟太郎までまわす』と言ってくれていたので絶対打ってやるという気持ちで打席に立ちました。最終的に打つことはできなかったですが、仲間と甲子園でプレーできて幸せでした」と話していました。

また、今後については「高校野球人生は終わりましたが今後も野球を続けて、さらにレベルの高いプレーができるように努力していきたいです」と話していました。

花巻東 廣内駿汰選手「次につなぐという気持ちで」

花巻東高校の廣内駿汰選手は、ノーアウト一塁二塁のチャンスでまわってきた9回の打席について「次につなぐという気持ちで打席に立ちました。みんな最後まで諦めないという気持ちでやっていて、球場も盛り上げてくれて声援に後押ししてもらいました」と話していました。

また、仙台育英の先発、湯田統真投手については「試合前から対策をしていましたが実際に対戦するとスピードと変化球のキレがすごくて、打ち崩すことができませんでした。監督からは、『高い球に対応しよう』という話がありましたが、攻略することはできませんでした」と話していました。

仙台育英 尾形樹人選手「絶対に決めてやると打席に入った」

仙台育英高校の尾形樹人選手は先制点をあげた場面について「ここを抑えられたら相手に一気に流れが行ってしまうと思ったので、絶対に決めてやるという気持ちで打席に入りました。うまく食らいついていこうという意識が1本につながってくれました」と振り返りました。

また、7回にソロホームランを打ったことについては「逆方向に低い打球を打とうという気持ちでしたが、それが上手く風に乗ってくれました」と話していました。

花巻東との東北勢対決を制し準決勝に勝ち進んだことについて「東北勢の思いも背負って勝ち進みたいです」と話し、対戦する鹿児島の神村学園については「攻撃力がたけていて、勢いもあると思うので、勢いに乗らせないように、丁寧に自分たちのカギとなる投手陣の長所をキャッチャーとして引き出していきたいです」と意気込みを語りました。

仙台育英 湯田統真投手「無失点で抑えることができてよかった」

先発として4回8奪三振、無失点に抑えた仙台育英の湯田統真投手は「きょうの試合は初回の入りが1番大事だと思っていたので、初回を3人で抑えることができてよかったかなと思います。しっかり「0」に抑えて後半に入って行けばこっちに分があると思っていたので、4回を無失点で抑えることができてよかったです」と振り替えました。

準決勝に向けては「次の神村学園は打線が強いという印象があるので、自分たちピッチャー陣がしっかり投げて、守り勝って、ロースコアで勝ちたいと思います」と意気込みを語りました。