慶応 1世紀ぶりの決勝進出 3本指ポーズで前向きに?

夏の全国高校野球で決勝に進み107年ぶりの優勝を目指す慶応高校。

およそ1世紀ぶりに進んだ準決勝などで選手たちが何度も見せたあるポーズについて探ってみました。

大正時代以来!1世紀ぶり快挙へあと1勝

慶応は1916年(大正5年)に初優勝を果たした当時の「慶応義塾普通部」以来となる107年ぶりの快挙まであと1勝に迫りました。

野球部の歴史は長く、ホームページには1888年(明治21年)の「三田ベースボール倶楽部」の結成にさかのぼることができると書かれています。

新たに始めたトレーニング

そんな歴史と伝統のある野球部が、おととしから取り入れているトレーニングがあります。

チームで“スーパーブレイントレーニング”と呼ばれているイメージトレーニングです。

慶応野球部メンタルコーチ 吉岡眞司さん

慶応のメンタルコーチ、吉岡眞司さん。

スポーツやビジネスでのメンタルトレーニングなどをサポートしている一般社団法人で代表理事を務めています。

吉岡さんによりますと、いわゆるメンタルトレーニングとは異なり、苦しい場面でも平常心を保って打開策を見いだす心の持ちようを、脳から鍛えるということです。

2年前(21年)の秋、精神的な部分の強化も必要だと考えた慶応は、吉岡さんを招いて1年に1回の講習を受けるなどして、トレーニングを続けています。

選手が橋渡し役に

慶応 メンタルチーフ 庭田芽青選手

ふだんの練習では、庭田芽青選手がメンタル面でのトレーニングを担当しています。

庭田選手は、2年生の選手とともに練習や試合の前に『自分がどのようなプレーをしているかや、決勝の舞台などをイメージし、本番で平常心を保てるように』とメンタルを整える時間を提案しました。

3本指のポーズ!

さらに今大会、選手たちが何度も見せている手の形。

チームでは「ナンバーワンポーズ」と呼ばれています。

この片手の指3本を立てるポーズ。

“スーパーブレイントレーニング”の一環として、去年の秋、チームの関係者が話をする時のしぐさをまねて採用しました。

ヒットを打って出塁した時、守備のタイムを取って、内野陣が集まった時、選手たちが出したいタイミングで、いつでも自由にポーズをしています。

チームによりますと、うれしいときや前向きな心境の時にこのポーズを繰り返すことで心身が覚えるということです。

試合でピンチの場面でもこのポーズをすることで、脳から前向きな精神状態を作り出すことができるといいます。

甲子園でも…

1年ほど続けてきたこのポーズ。

今では、指を3本立てるだけで精神を安定させ、気持ちを前向きにさせてくれると言います。

準決勝でタイムリーヒットを打った小宅雅己選手は「あ、打っちゃったと驚いたが、1点を先に取れてうれしく、ナンバーワンポーズをしました」と振り返りました。

キャプテンの大村選手

キャプテンの大村昊澄選手は「自分たちを勢いづける、自分たちのエンジョイベースボールを象徴するようなポーズだと思います」と話しています。

チームにすっかり浸透した3本指のポーズ。

決勝の大舞台で選手たちの心をプラス思考にさせ、力を引き出してくれるかもしれません。