神村学園は両チーム無得点で迎えた8回、4番・正林輝大選手と5番・岩下吏玖選手の連続タイムリーヒットで均衡を破ると、さらに満塁のチャンスで途中出場の松尾大悟選手が走者一掃のタイムリーツーベースを打って、この回一挙5点を奪いました。
投げては先発した松永優斗投手から2人目の黒木陽琉投手への投手リレーで最後まで相手に得点を与えず、神村学園が6対0で勝って初めてのベスト4進出を決めました。
高校野球 神村学園がおかやま山陽に勝利 初のベスト4
夏の全国高校野球、大会12日目、準々決勝の第3試合は、鹿児島の神村学園がおかやま山陽高校に6対0で勝って、初めてのベスト4進出を決めました。
おかやま山陽は、先発した西野彰人投手が7回を投げて無失点に抑える好投を見せましたが、8回から投手リレーに入ったところで守備のミスからピンチを招き、大量失点につながりました。
積極性を取り戻した監督に選手たちが…
「迷ってしまった。申し訳ない」。
試合中に選手に謝った神村学園、小田大介監督。
積極性を取り戻した監督に終盤、選手が集中打で応えて初めてのベスト4進出を決めました。
この大会、上位から下位まで切れ目のない強力な打線が力を発揮し神村学園は3回戦までのすべての試合で2桁得点を挙げてきました。
ところが、準々決勝では中盤まで攻撃がかみ合いませんでした。
2回、ノーアウト一塁三塁のチャンスは、強攻策が実らず無得点。
3回と4回は、いずれもランナー一塁の場面で盗塁に失敗。
毎回、ランナーを出すもののちぐはぐな攻めが目立ちました。
「采配がうまくはまらず、弱気になりかけていた」という小田監督。
しかし、5回が終了して迎えた「クーリングタイム」の際、選手たちを集め「迷ってしまった。申し訳ない」と謝罪したうえで「攻める気持ちだけは忘れず積極的な采配をしようと思う。みんなを信じている」と声をかけました。
両チーム無得点で迎えた終盤の8回、ノーアウト一塁三塁と先制のチャンス。
なんとしても得点がほしい場面で小田監督は選手たちを信じて強攻策に出ました。
1アウトとなって打席には4番・正林輝大選手。
「ここでスクイズではなくて打たせてくれたので、監督が自分を信頼してくれていると感じ、その期待に応えたかった」と先制タイムリーを打ちました。
これで勢いづいた打線はこの回、一挙5得点。
小田監督からも思わずガッツポーズが飛び出し、試合の行方を決定づけました。
小田監督は「序盤から積極的に動いたが全くはまらず苦しい展開だった。自分の采配を選手たちがカバーしてくれて感謝したい」と選手たちをたたえました。
準決勝は、大会連覇をねらう仙台育英高校との対戦。
監督、選手ともに再認識した攻めの姿勢を貫き、鹿児島県勢29年ぶりの決勝進出を目指します。
《両チーム談話》
神村学園 小田大介監督 無失点リレーの投手陣たたえる
神村学園の小田大介監督は序盤からランナーを出しながらも7回まで得点をあげられなかったことについて「序盤は盗塁やエンドランで積極的に仕掛けましたがなかなかうまくいかず、采配に迷いが生まれてしまいました。クーリングタイムで頭も少し冷やして考えることができ、6回からもう一度頑張ろうと思うことができました」と振り返りました。
また、先発した松永優斗投手と6回途中から登板した黒木陽琉投手については「松永は苦しい展開が続いていたにもかかわらず、コントロールよく粘りの投球を見せてくれました。黒木は持ち前の度胸で難しい場面でのリリーフにもかかわらず堂々と投げてくれました」と無失点リレーで抑えた投手陣をたたえていました。
神村学園 正林輝大選手「迷惑かけていたので打ててよかった」
8回に先制のタイムリーツーベースを打った神村学園の正林輝大選手は「前の打席で送りバントを失敗したり、守備でもファンブルをしてランナーを進塁させたりとチームに迷惑をかけていたので先制のチャンスで打ててよかったです」と振り返りました。
また、ここまで4試合すべてで2桁安打と好調な打線については「もともとは守備からリズムをつくって粘り強く戦うのが神村学園の野球です。守備が安定しているので攻撃にいい流れが生まれていると思います」と話していました。
おかやま山陽 渡邊颯人主将「思うような野球させてもらえず」
おかやま山陽高校のキャプテン、渡邊颯人選手は「もっと上に勝ち進んでこの仲間と最高の舞台を見たかったですが、思うような野球をさせてもらえず、苦しいゲームでした」と話していました。
また、ベスト8という結果については、「この1年間、甲子園3勝という目標を掲げてやってきたので、そこを達成できて素直にうれしかったです。この仲間でなければ達成できなかったと思います。次の代にもう一度甲子園に来て、記録を抜いてほしいと思います」と話していました。