中国 台湾周辺で軍事演習を実施 副総統の米経由に対抗か

中国軍は、19日、台湾周辺の海域や空域で軍事演習を実施したと発表しました。台湾の頼清徳副総統が南米を訪問した際にアメリカを経由したことへの対抗措置とみられます。

中国軍で台湾方面などを管轄する東部戦区は19日、台湾周辺でパトロールのほか、海軍と空軍合同の軍事演習を実施したと発表しました。

具体的には、台湾北部と西南の海域や空域で、制海権や制空権を奪取する訓練などを実施し、部隊の連携や対抗能力を検証したとしています。

東部戦区は、演習の様子だとして、艦艇が航行したり航空機が飛び立ったりする映像を公開しましたが、いつどこで撮影されたのかは明らかにしていません。

一方、台湾国防部によりますと、日本時間の19日午前10時以降の4時間近くに、中国軍の戦闘機などのべ42機が台湾周辺海域の上空で活動し、このうちのべ26機が台湾海峡の「中間線」やその延長線を越えて台湾寄りの空域に進入したということです。

また、中国軍の艦艇8隻の活動も確認したということで、台湾軍は、航空機や艦艇のほか、地上のミサイルシステムで監視を行ったとしています。

中国軍は「『台湾独立』勢力と外部勢力による結託と挑発に対する重大な警告だ」などと強調していて、中国側が、「台湾独立勢力だ」と批判する台湾の頼清徳副総統が南米のパラグアイを訪問した際、アメリカを経由したことへの対抗措置とみられます。

中国「『台湾独立』勢力とその行為を断固として戒める」

中国共産党で台湾政策を担当する中央台湾工作弁公室は19日に談話を発表し、来年1月の台湾総統選挙に与党・民進党から立候補する頼清徳副総統が南米を訪問した際アメリカを経由したことについて「民進党当局がアメリカとの結託を強める挑発行為だ」と強く非難しました。

また頼氏について「『台湾独立』の立場をかたくなに堅持し、台湾海峡をはさんで対立と対抗を作り出している」などと指摘し「完全なるトラブルメーカーだ」などと主張しています。

そのうえで「われわれは、『台湾独立』勢力とその行為を断固として戒める措置をとり、国家の主権と領土の一体性を守る」として対抗措置をとることを示唆しています。

台湾「理性的でない挑発行為を強く非難」

台湾国防部は19日、「このような理性的でない挑発行為を強く非難する。適切に兵力を派遣して対応する」などとするコメントを発表しました。