【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(18日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ貨物船 黒海抜けトルコ沖到着

ロシアがウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止して以降、初めてウクライナ南部の港を出発した貨物船は18日、黒海を通過してトルコの沖合に到着しました。

ウクライナ政府は16日、食料など3万トン以上の貨物を積んだ船が南部のオデーサの港を出たと発表し、先月、ロシアがウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行の停止を発表したあと、ウクライナ側が設けた臨時航路を利用した初めてのケースとなりました。

船舶の位置情報などを公開している民間のホームページ「マリントラフィック」によりますと、この貨物船は18日、黒海を抜けてトルコのボスポラス海峡を通過しました。

貨物船は黒海を通過する際、ブルガリアなどNATO=北大西洋条約機構の加盟国の沿岸を通っていて、ロシア側の威嚇を避けるねらいもあったとみられます。

一方、トルコ大統領府は今月13日に黒海で貨物船を強制的に停船させ検査をしたロシア海軍の哨戒艦に対して「黒海の緊張を高める試みを避けるよう警告した」と17日、SNSで明らかにしました。

“モスクワに無人機攻撃” ロシア国防省

ロシア国防省は、18日午前4時ごろ(日本時間の18日午前10時ごろ)、首都モスクワや近郊の施設に対して無人機による攻撃が仕掛けられ、中心部のクレムリンからおよそ5キロ西の建物に落下したと発表しました。けが人はないとしていて、ウクライナ側による攻撃だと主張しています。

これに先立ってモスクワのソビャーニン市長はSNSに、無人機の破片がビジネス街の「モスクワシティ」の近くの展示場に落下したとしています。

モスクワでは、先月30日と今月1日にも「モスクワシティ」で無人機が墜落し、建物の一部が損壊する被害が出たほか、11日にも西部に無人機が飛来していてロシア側は警戒を強めています。

ウクライナ ザポリージャ州西部で部隊を進軍か

反転攻勢を続けるウクライナ側は、ウクライナ東部ドネツク州のウロジャイネを解放したと16日に発表するなど、ドネツク州と南部ザポリージャ州の州境や、ザポリージャ州西部のロボティネの周辺で部隊を進軍させているとみられています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は17日、「ロシア軍はロボティネやウロジャイネなどの占領地を維持するために、多大な労力や人員を投入してきた。最近のウクライナ側の進軍は、ロシア側の防衛力が広い範囲にわたって低下していることを反映している可能性が高い」と指摘しています。

ウクライナ 奪還集落でクラスター爆弾使用か

ウクライナ軍は16日、奪還したと発表した東部ドネツク州の集落ウロジャイネでの戦闘の様子などを撮影したとする動画を公開しました。

上空から撮影した映像では、爆発が起きる中、ロシア軍の兵士らだとする人たちが煙とは反対方向に向かって走って逃げる様子が確認できます。

映像についてアメリカのCNNテレビは、2人の軍事専門家の話として「兵士が逃げるときに砲撃を受けたようで、時々、クラスター爆弾のようなものも投下された」と伝え、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散り、殺傷能力が高いクラスター爆弾が使用された可能性に触れています。

一方、現地部隊の責任者はCNNのインタビューで、クラスター爆弾について言及しなかったとしています。

また、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルも先月下旬、南部ザポリージャ州のロボティネで、クラスター爆弾を使用したことなどをウクライナ軍の兵士の話として伝えています。

クラスター爆弾を巡ってアメリカは、ロシア軍もすでに戦場で使用しているという認識を示しています。

反転攻勢を続けるウクライナ軍と、その進軍を阻止しようとするロシア軍との間で激しい戦闘が続くなか、クラスター爆弾の使用が相次いでいる可能性が出ています。

アメリカ F16戦闘機のウクライナへの供与を正式に承認

アメリカのF16戦闘機を巡っては、ウクライナ兵に対する訓練がヨーロッパ各国で行われることになっていて、ロイター通信によりますと、訓練を主導するデンマークとオランダは、ウクライナに供与するための承認をアメリカに求めていました。

アメリカ国務省の報道担当者は17日、NHKの取材に対し、訓練が終わりしだいウクライナ軍が速やかにF16戦闘機を使用できるようデンマークとオランダに対し、供与を正式に認めたことを明らかにしました。

そのうえで、この報道担当者は「F16戦闘機はウクライナの防衛力と抑止力に貢献するだろう」と述べました。

ただ、ウクライナ兵などへの訓練を巡っては、パイロットが英語の専門用語を身につけるため語学研修に参加しなければならないこともあって開始時期の遅れが指摘されています。

ウクライナ空軍の報道官は16日に「この秋から冬にかけてF16戦闘機でウクライナの空を守ることができないのは明らかだ」と述べ、現在続けている反転攻勢の作戦にはF16戦闘機を投入することはできないという認識を示しています。

プーチン大統領 “ウクライナ東部2州まで鉄道網を”

ウクライナ軍の参謀本部は17日、ミサイルなどによるロシア軍の攻撃を受け死傷者が出ているほか、インフラ施設に被害があったと発表しました。

ウクライナ東部ハルキウ州の知事は17日、ロシア軍がクピヤンシクに砲撃し1人が死亡し、1人がけがをしたと発表しました。一方、ウクライナのマリャル国防次官は16日、東部ドネツク州のウロジャイネを解放し、現地で守備を固めつつあると主張しました。

こうした中、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は17日、首都モスクワで行われた新しい鉄道路線の開通式に出席し「国家の発展の強力な原動力となる」などと述べて高速鉄道の建設の重要性を強調したうえで、去年9月に一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部2州まで鉄道網を広げていく必要があるという考えを示しました。

ロシアは、これまでも支配する地域で攻撃によって破壊されたインフラ施設の建設を一方的に進めていて、支配の既成事実化を一層強めたいねらいがあるとみられます。

「レオパルト1」を使った訓練 国内外のメディアに公開

ドイツ軍は、軍事支援として供与したドイツ製の兵器をウクライナ軍の兵士が使いこなせるようにするための訓練を去年11月から行っていて、これまでに6000人が訓練を終えました。

東部ザクセン・アンハルト州の軍の演習場では、ドイツ製の旧式の主力戦車「レオパルト1」を使った訓練が17日、NHKなど国内外のメディアに公開されました。

訓練では、ウクライナ軍の兵士が乗った戦車3両が標的に向かってごう音とともに一斉射撃などを行っていました。

「レオパルト1」は、世界で最も優れた戦車とされるドイツ製の「レオパルト2」より旧式ですが、ドイツ軍は夜間の戦闘能力や機動力などでロシア軍の戦車に優位性があるとしていて、ドイツ政府は、100両の「レオパルト1」をウクライナへ送る計画です。