高校野球 神村学園が北海に快勝 初のベスト8進出

夏の全国高校野球、大会11日目の第4試合は、鹿児島の神村学園が南北海道の北海高校に10対4で勝って初のベスト8進出を決めました。

神村学園は1回、5番の岩下吏玖選手と6番の上川床勇希選手などのタイムリーヒットで4点を先制し、4回にも岩下選手の2点タイムリーツーベースと上川床選手のタイムリーで3点を加え、7対2とリードしました。

上川床選手は、北海に2点を返され3点差となった直後の6回にも、この試合3本目となるタイムリーヒットを打ち、神村学園はその後もリードを広げました。

投げては5回途中から登板した黒木陽琉投手が、落差のあるカーブを中心に緩急をつけたピッチングで北海打線に1本のヒットも許さない好リリーフを見せました。

投打がかみ合った神村学園が10対4で北海に勝ち、初めてのベスト8進出を決めました。

ここまで2試合連続サヨナラで勝ち上がってきた北海は、5回に3番の熊谷陽輝選手がツーランホームランを打って3点差としましたが、その後は突き放され、準優勝した2016年以来のベスト8進出はなりませんでした。

神村学園 “日替わりヒーロー”がつなぐ

神村学園は1回戦は10得点、2回戦は11得点、そして17日の3回戦では10得点と、3試合連続2桁得点でベスト8に進みました。

強打の印象が強いですが「うちは打撃のチームではない。スターがいないので、選手たちが日替わりヒーローで、つながる野球してくれている」と小田大介監督。

監督がそう話すとおり、1回戦はキャプテンで1番の今岡歩夢選手がホームランを含む3安打4打点。

2回戦では7番の松尾龍樹選手がチームトップの4打点を挙げていて、毎試合、ヒーローが変わっています。

そして3回戦のヒーローは5番の岩下吏玖選手と6番の上川床勇希選手の2人でした。

ここまでの2試合、岩下選手はノーヒットと当たりが無く、上川床選手は4安打も打点は「1」と、2桁得点の打線の中では目立った活躍ができていませんでした。

その2人に、この試合は1回からチャンスが回ってきました。まずは5番の岩下選手が2アウト一塁三塁の場面で打席に。

岩下吏玖選手
「2アウトで自分が打たないと点は入らない。初回から一気にいくためには自分が打たなくてはいけない」

強い気持ちで打席に入り、一二塁間を破るタイムリーヒットで甲子園初安打、初打点をマークしました。

6番の上川床選手も「低く強い打球を打つ意識」とタイムリーヒットで続いてチームを勢いづけ、神村学園はこの回、4点を先制しました。

このあと2点差とされ迎えた4回は岩下選手が「点差も縮まってきて、このままずるずるいったらきつい展開になる」と2点タイムリーツーベースを打つと、上川床選手も再びタイムリーを打ちました。

上川床選手は6回にもタイムリーを打ち、2人で6打点を挙げる大活躍で神村学園の初のベスト8入りに大きく貢献しました。

小田監督
「みんなが日替わりヒーローで、誰かががだめでも次の選手が活躍すれば野球は勝てる。そういうカバーし合う、助け合う思いをこのチームには植え付けてきた」

試合後、選手たちが口したのは「日本一」という目標。日替わりヒーローが打線をつなぐ神村学園。次の戦いへ、選手たちは自信を深めています。

《両チーム談話》

神村学園 上川床勇希選手「点差は関係なく今後も集中」

4安打3打点の活躍だった神村学園の6番 上川床勇希選手は好調の要因を聞かれると「低く強い打球を打つ意識で打席に入っているので、いい形で捉えられていてよかったです」と話していました。

また、自身が三塁ランナーの時ダブルスチールで追加点を奪うなど3試合連続で2桁得点をとったことについては「甲子園は何点取っても怖いので、点差は関係なく今後も集中して一点一点を取っていきたいです。足も絡めながらしっかり攻撃していきたいです」と話していました。

神村学園 岩下吏玖選手「自分が打たなくては」

2安打3打点の活躍だった神村学園の5番の岩下吏玖選手は1回の先制タイムリーヒットについて「2アウトだったので初回から一気にいくためには自分が打たなくてはいけないと思って打ちました」と振り返りました。

また、今後の試合に向けて「まだまだ満足することなくこれからの試合も絶対に勝って日本一をとりに行きたいです。レベルの高いピッチャーが増えてくるので、ピッチャーの球にスイングをあわせるのではなく、自分のスイングの中にボールが入ってくる感じになるように調整していきたい」と意気込んでいました。

北海 岡田彗斗投手「ピッチングに後悔も」

北海高校の先発したエース岡田彗斗投手は4回7失点と打ち込まれたことについて、「初回に4失点という形になってしまった。もう少し厳しくいけば自分のピッチングができたかなという後悔もあります」と振り返りました。

そのうえで「準優勝した2016年の壁を越えることが目標でした。勝つことはできませんでしたが3回戦まで進むことができて本当によかったと思います」とすがすがしい表情で語りました。

北海 熊谷陽輝選手「自分のプレーに悔いはない」

北海高校の熊谷陽輝選手は「初回に先発の岡田が4点を取られてしまったが、ベンチから『1点ずついこう』という声が聞こえた。まだまだいけると思っていましたが向こうの方が完全に実力が上だったなと思います」と試合を振り返りました。また、5回のホームランについては「ボールがバットの芯に当たっていちばんいい形で飛んでくれたのですごいよかったです」と話していました。

その上で「このチームで長く野球がやりたかったので、それが終わってしまうのは悔しいですけど、自分のプレーに対しては悔いはないです」と話しました。