三重 多度大社の「上げ馬神事」 県教委が2回目の改善勧告

若者が馬に乗って急な坂を駆け上がる三重県桑名市の多度大社で行われる伝統行事、「上げ馬神事」について、県教育委員会は、17日、神社に対して、馬を威嚇する行為を根絶することなどを求める勧告を行いました。

多度大社の「上げ馬神事」は、680年以上前から行われているとされ、三重県の無形民俗文化財に指定されている伝統行事で、若者が馬に乗って急な坂を駆け上がり、頂上の壁を越えた回数で農作物の作柄などを占います。

ことし5月の神事では、参加した馬1頭が転倒して骨折し、獣医師による殺処分の対応がとられ、県の審議会は、8月上旬、安全管理の徹底を主催者に求めるべきだなどとする意見を県教育委員会に提出していました。

17日に開かれた県教育委員会の会議で、出席者からは、助走路が固く、馬術競技より高い壁を越えさせるなど、「馬にとって過酷な環境だ」などという指摘が相次いだということです。

そして、神社に対し神事の改善を促す勧告を行いました。

勧告では
▽動物愛護管理法を順守し、馬を威嚇する行為などを根絶することや
▽人、馬ともにけがのないよう徹底した安全管理のもとで行うこと、
それに、
▽実施主体を明確にして、指定文化財としての今後のあり方を検討することなどを求めています。

この神事をめぐり県教育委員会が勧告を行うのは平成23年以来2回目です。

県教育委員会の福永和伸教育長は、会議のあとの記者会見で「文化が受け継がれるためには、時代ごとの考え方や世相に合わせ柔軟にかたちを変えていくべきだ。勧告の方針にそって善処してほしい」と述べました。