WTO “中国がアメリカからの輸入品に幅広く課税は協定違反”

WTO=世界貿易機関は16日、中国がアメリカのトランプ前政権による鉄鋼製品などへの関税に対抗して、豚肉などアメリカからの輸入品に幅広く課税したのはWTO協定に違反するという判断を示しました。

中国はアメリカのトランプ前政権が2018年、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課す輸入制限措置を発動したのに対抗して、アメリカから輸入される豚肉や果物、それにスクラップなど幅広い品目に高い関税をかける報復措置を発動しました。

これについて、WTOの紛争処理小委員会は16日、中国の措置はWTO協定上の義務に違反するという報告書を公表しました。

WTOは去年12月、中国が反発したアメリカ側の輸入制限措置についても、WTO協定に違反するという判断を示していますが、バイデン政権はこの措置を維持したままです。

中国商務省はホームページでコメントを出し、WTOの報告書は精査するとしながらも、「原因はアメリカの一国主義、保護主義的な行動にあり、中国の対抗措置は正当だ」と述べ、アメリカ側にトランプ前政権から続く関税措置を直ちにとりやめるよう求めました。

米通商代表部「判断を喜ばしく思う」

WTOが公表した報告書について、アメリカの通商代表部は「アメリカの鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限措置は国家安全保障上の観点から実施したもので、中国はWTO協定に違反して偽りの関税措置で報復したという認識を示しており、その判断を喜ばしく思う」とのコメントを発表しました。

その上で、「国家安全保障に関わる問題はWTOの紛争解決で審理するものではない」という見解を改めて強調しました。