【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ベラルーシ大統領 中国国防相と会談 連携を強調

ロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領が17日、首都ミンスクを訪れた中国の李尚福 国防相と会談しました。

ベラルーシの大統領府によりますと、ルカシェンコ大統領はこのなかで「世界は非常に不安定で、われわれは強くならなければならない。政策は強い経済、強い外交に基づいている。中国の軍事協力に感謝する。まずロシアと中国を頼りにしている」と述べたとしています。

ベラルーシとしてはロシアだけでなく中国との連携も強調することで、NATO=北大西洋条約機構に加盟する国々をけん制するねらいもあるとみられます。

一方中国国防省によりますと、会談で李国防相は「両国関係は全面的な戦略的パートナーに引き上げられた」とした上で、軍事協力について「戦略的な意思疎通や合同訓練などの面で大きな成果を収めている。ともに努力し、両軍関係を絶えず前進させていく」と述べたということです。

“ロシア軍ヘリコプターに複数の外国製部品”

ウクライナ大統領府のイエルマク長官は17日、SNSで、ウクライナが撃墜したロシア軍のヘリコプターを調べたところ、複数の外国製の部品が使われていたと明らかにし、ロシアに対する制裁を強化すべきだと訴えています。

この中で、イエルマク長官は「きょう撃墜した2機のロシアのカモフ52ヘリコプターは、外国製の部品なしには飛行できなかった。ヘリコプターには西側諸国やアジア諸国のハイテク部品が使われていた」と指摘しました。

その上で、集積回路や受信機など複数の部品が含まれているとして、ロシアが、どのようにして制裁を回避して、これらの部品を入手しているのか調査していると明らかにしました。

ただ、具体的にどの国がロシアのヘリコプターに使われていたとする部品を供給していたかについては、言及していません。

イエルマク長官は「ヘリコプターを撃墜するのは大事なことだが、それよりも、ロシアからヘリコプターを生産する能力を奪う方がずっといい」として、ロシアに対する制裁を強化すべきだと訴えています。

ロシア ウクライナ双方が無人機量産化 攻防激化か

イギリス国防省は16日、ロシア軍がイラン製を基にして国産の無人機の配備を始めていると指摘しました。

そして「ロシアは数か月以内に無人機の自給自足を目指している可能性が高い」として国内で無人機の量産に取り組もうとしていると分析しています。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領も16日に投稿した動画で「無人機の製造を大きく増やしている。無人機は最前線での『目』でありわれわれを守っている」と述べて無人機の製造を強化する方針を示していて、双方の間で無人機による攻防が一段と激しくなるとみられます。

ウクライナ国防次官「東部ドネツク州のウロジャイネを解放」

反転攻勢を続けるウクライナのマリャル国防次官は16日、東部ドネツク州のウロジャイネを解放し、現地で守備を固めつつあると主張しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は16日「ウクライナ軍は前線の少なくとも3方面で反撃を続けて、ウロジャイネも解放した」としてウクライナ側は南側に向け反転攻勢を強めようとしていると分析しています。

ウクライナ保安庁 無人艇での橋攻撃を認める

ウクライナ保安庁のマリュク長官は、ロシアに一方的に併合された南部クリミアとロシアをつなぐ橋が先月、損壊した攻撃について、アメリカCNNテレビの取材に応じ、無人艇を使って攻撃したことを認めました。

先月17日の攻撃では橋桁が損壊して車が通れない状況となりましたが、ウクライナ側はこれまで関与を公式には認めていませんでした。

マリュク長官は攻撃がウクライナ海軍とウクライナ保安庁による合同作戦だったことを初めて認めたうえで、攻撃には独自に開発した無人艇が使用されたことを明らかにしました。

この無人艇はウクライナ保安庁がロシアによる軍事侵攻の開始後に開発したもので、「シー・ベビー」という名前で呼ばれています。

マリュク長官はクリミアの橋への攻撃のほかに、▼今月、ロシア南部のノボロシースクの海軍基地でロシアの揚陸艦が損傷した攻撃や、▼クリミア半島沖でロシアのタンカーが攻撃を受けた際にもこの無人艇を使用したことを明らかにしました。

そのうえでマリュク長官は「我々は黒海の海域を含めた数多くの新たな作戦を準備している」と述べて、今後もロシア側に新たな攻撃を仕掛けると警告しました。

輸出の合意履行停止後 初の貨物船出港もウクライナ側は警戒感

ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相は16日、SNSで、食料を含む3万トン以上の貨物を積んだ香港船籍の貨物船がオデーサの港を出たと発表しました。

7月17日、ロシアがウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行の停止を発表したあと、ウクライナは黒海に面した港に民間の船舶が出入りできるよう臨時航路を設けていて、初めて利用されたとしています。

一方、ロシアは先月以来、オデーサ州の港などに向けてミサイルや無人機による攻撃を繰り返していて、16日も、オデーサ州の知事はドナウ川沿いの港が攻撃され、穀物倉庫などが被害を受けたとSNSに投稿しました。

また、ロシアは、黒海をウクライナに向かうすべての船舶は軍事物資を輸送している可能性があるとみなすと警告し、今月13日には貨物船を強制的に停船させ検査を行ったと発表するなど威嚇しています。

これに対し、ウクライナのクブラコフ副首相は16日の投稿で、「ウクライナの港への航行に影響を与えようとする挑発が試みられている」と警戒感を示していて、ウクライナ産農産物の輸出が安全に再開できるかは依然不透明です。