台風7号で記録的大雨 海面水温高く大雨につながったか 専門家

15日、近畿地方を縦断した台風7号の影響で、鳥取県や岡山県では24時間の最大雨量が500ミリを超え、平年の8月1か月分の2.5倍余りに達するなど、気象庁の当初の予想を大幅に上回る記録的な大雨となりました。解析した専門家は、「日本海の海面水温が非常に高く大量に発生した水蒸気が台風の影響で中国地方に流れ込み続けたことで記録的な大雨をもたらした」としたうえで、太平洋側から接近する台風では、日本海側でも大雨のリスクに注意が必要だと指摘しています。

今回の台風7号について気象庁は、14日の気象情報で15日夕方までの24時間の雨量を中国地方の多いところで200ミリと予想していました。

しかし、15日は24時間の最大雨量が、
▽岡山県の鏡野町上齋原で531ミリ、
▽鳥取市佐治で515ミリと、
平年の8月1か月分の2.5倍余りに達し、観測史上、最も多くなりました。

これについて、台風のメカニズムに詳しい名古屋大学・横浜国立大学の坪木和久教授は、日本海の海面水温が非常に高いことや台風の速度が比較的ゆっくりだったこと、台風本体の雲が左右対称で崩れにくかったことなどをあげています。

台風が紀伊半島の南の海上を北へ進んでいた14日から15日にかけて、日本海の海面水温は平年より2度から3度ほど高い29度前後に達し、太平洋側と同じくらいになっていました。

坪木教授は、海面水温に風のデータを加えてこのとき発生した水蒸気の量を解析したところ、鳥取県や兵庫県の沖合では、今月11日に台風7号が東京の小笠原諸島にあって急速に発達していたときと同じくらいの大量の水蒸気が発生していたことが分かりました。

そして、近畿や中国地方の日本海側では台風の北上に伴って北寄りの風が流れ込み、海からの大量の水蒸気と台風本体が持っていた水蒸気が合わさって、「スパイラルバンド」と呼ばれる強い雨雲の帯ができあがりました。

その一部が山陰に流れ、鳥取県などで大量の雨が降ったということです。

坪木教授はさらに、台風7号の特徴として本体の雲が崩れず左右対称の「ドーナツ状」になっていて、比較的ゆっくりとした速度で移動したことで、同じ場所で長時間、雨が降り続き、記録的な大雨につながったと分析しています。

坪木教授は「一般的に日本の南から北上する台風は太平洋側に多くの雨をもたらすが、日本海側でも高い海面水温や台風の速度など条件が重なることで多くの雨となることを意識しておくべきだ」と話しています。

また、今後の警戒点について「台風はあすの夜までに温帯低気圧になると予想されているが、温帯低気圧に変わると広い範囲で暴風が吹くおそれがある。北海道付近に流れ込む水蒸気の領域があり、大雨にも注意が必要だ」と指摘していました。