高校野球 土浦日大高が専大松戸に勝利 初のベスト8

夏の全国高校野球、大会10日目の第4試合は茨城の土浦日大高校が千葉の専大松戸高校に10対6で勝って、初めてのベスト8進出を決めました。

土浦日大は序盤から投手陣が打ち込まれるなど、6点のリードを許す苦しい展開となりますが、3回、4番・香取蒼太選手や、6番・鈴木大和選手のタイムリーヒットなどで5点を返すと、続く4回には香取選手の2打席連続となるレフトへのタイムリーヒットで6対6の同点に追いつきました。

さらに5回、3番・後藤陽人選手のタイムリーヒットなどで3点を挙げ、9対6とこの試合初めてのリードを奪いました。

投げては、3回途中から3人目として登板したエースの藤本士生投手が9回まで投げて得点を許さず、土浦日大が10対6で勝って、初めてのベスト8進出を決めました。

一方の専大松戸は、雨による新幹線の運転見合わせの影響でブラスバンドなどの応援団が球場に来られない中、1回に4番・太田遙斗選手のタイムリーヒットや5番・広川陽大選手のセーフティースクイズなどで3点を先制し、3回にも3点を加えましたが、投手陣がこのリードを守りきることができず、ことし春のセンバツに続くベスト8進出はなりませんでした。

《両チーム談話》

土浦日大高 小菅監督「これからは新しい世界に挑戦」

土浦日大高校の小菅勲監督は3回、6点をリードされた場面でエースの藤本士生投手を登板させたことや、そのウラに5点を奪った攻撃について、「藤本投手は背水の陣で、あとがない場面での起用だったが、エースらしいピッチングで流れを変えてくれた。6点差だったが、選手たちは一喜一憂することなく冷静に戦えた結果、ビッグイニングをつくれたと思う」とたたえました。

また、春夏通じて初のベスト8進出を決めたことについて、「チームの目標を達成してうれしく思う。これからは新しい世界に挑戦することになるが、選手のモチベーションをどのように上げていくか、これから考えたい」と話していました。

土浦日大高 エース 藤本士生投手「相手の嫌がる投球ができた」

土浦日大のエース、藤本士生投手は6点をリードされた3回の2アウト一塁二塁のピンチでマウンドにあがった場面について、「1球ずつ丁寧に投げて、悪い流れを変えることができれば味方が援護してくれると思いマウンドにあがりました。抑えることができてよかったです」と振り返りました。そのうえで、その後も無失点に抑えたことについて、「テンポよく投げるだけではなく、状況によっては少し長い間合いで投げるなど、相手の嫌がる投球ができたことが好投につながったと思います」と話していました。

土浦日大高 4番 香取蒼太選手「相手投手の狙い球 共有した成果」

2本のタイムリーヒットを打つなど、3安打2打点と活躍した土浦日大高校の4番、香取蒼太選手は4回の同点タイムリーについて、「体勢が崩れて泳いだバッティングとなりましたが、いい場面で打ててよかったです。選手どうしで相手投手の狙い球を共有した成果が出たと思います」と話しました。

また、新幹線の運転見合わせの影響で応援団の一部が来られなかったことについては、「なんとか勝って、次は全員で応援してほしいと思いました。応援団のおかげでここまで勝てていると思うので感謝しています」と話していました。

専大松戸 大森准弥主将「ここで負けたことだけが悔しい」

専大松戸のキャプテン、大森准弥選手は「練習してきたことや、いいところも出せて、そこには悔いはないですが、ここで夏が終わってしまった、ここで負けてしまったことだけが悔しいです」と振り返りました。好投手と言われながら、夏の甲子園での登板がかなわなかったエースの平野大地投手については「春のセンバツでベスト8で敗れて悔しい思いをして、もう1回、夏という気持ちもあったと思いますが、平野投手をマウンドに立たせることができなくて悔しい思いがあります」と、涙をこらえながら話しました。

また、新幹線の運転見合わせの影響で野球部員やブラスバンドなどの応援団が試合に間に合わなかったことについて、「甲子園に来られないなかでも応援してくれている気持ちは伝わっていました。スタンドにいた人たちが全力でいつも以上に応援してくれて、それが球場全体を巻き込んで、本当に楽しい甲子園にしてくれて感謝しています」と話していました。

専大松戸 平野大地投手「あの場面で使ってくれて感謝しかない」

専大松戸のエース、平野大地投手は8回に代打として初めて甲子園に出場しました。打席について、「後ろのバッターにつなぎたかったのですが、監督も自分をあの場面で使ってくれたので感謝しかないです」と話しました。そのうえで、「甲子園のマウンドで投げたかったという思いはありますが、もう1回、あのマウンドを目指したいという気持ちになりました。この先の進路はどうなるかわからないですが、それを目標にして、力をつけて帰って来たいです。最高の仲間に恵まれて、支えられて成長できた3年間だったので、みんなに感謝したいです」話していました。

劣勢で登板のエースが勝利呼ぶ

6点をリードされる劣勢からチームを救い、土浦日大高として初めてのベスト8進出の立て役者となったのは頼れるエースでした。

互いの指揮官が「ロースコアの展開になる」と予想したこの試合。

しかし、エンドランやセーフティースクイズなど専大松戸の足を絡めた攻撃で3回までに6点を奪われます。

この劣勢の場面で、3人目としてエースの左腕・藤本士生投手がマウンドに上がりました。

「前を投げた2人の悔しさも背負って、試合を任されたからには逃げてはいけないと思い、1人1人のバッターに対して強気で攻めていった」という藤本投手。

ストレートの球速は130キロ台ながらも、切れのよい変化球を駆使して相手打線を抑えると、チームは集中打を見せて逆転に成功しました。

試合中盤には、雨による新幹線の運転見合わせの影響でブラスバンドなど応援団の多くが試合に間に合わなかった専大松戸を後押しする応援が球場に広がりました。

その場面でも藤本投手は「自分のことを応援してくれているというプラスな気持ちで楽しく投げられた」と、連打を一度も許さない丁寧なピッチング。

さらにフォアボールを1つも出さず、テンポのよさがバックを守る野手たちにもよい流れを生み、再三のファインプレーで藤本投手を盛り立てて4回以降は相手に得点を許しませんでした。

小菅勲監督は「エースらしいピッチングで流れを変えてくれた。甲子園で戦う中で、いいものをつかんできていると思う」と藤本投手をたたえていました。

準々決勝の相手は青森の八戸学院光星。

過去、春夏合わせて甲子園で3回決勝に進み、土浦日大が経験していない戦い方を知る相手ですが、藤本投手は「エースとして勝利を呼び込むピッチングをする」と気合い十分です。