7月の外国人旅行者 中国からの旅行者除き 過去最多に

7月に日本を訪れた外国人旅行者は合わせて232万人余りとなりました。回復が遅れている中国からの旅行者を除くと、この月としては過去最多だった新型コロナウイルス感染拡大前の2019年を上回りました。

日本政府観光局によりますと、7月に日本を訪れた外国人旅行者は推計で232万600人で、2か月連続で200万人を超えました。

国や地域別では、
▽韓国が62万6800人と最も多く
次いで
▽台湾が42万2300人
▽中国が31万3300人
▽香港が21万6400人となっています。

また、7月として最も訪日客が多かった新型コロナの感染拡大前の2019年と比べると、全体では77%の水準まで回復し、2019年時点で訪日客のおよそ3割を占め団体旅行の制限などで回復が遅れている中国からの旅行者を除いた数では3%上回って、コロナ禍前の水準を超えました。

日本政府観光局は、「国際線の定期便が戻りつつあることを背景にアメリカやカナダなどからの旅行者も、コロナ禍前の同じ月を上回るなど、多くの国や地域で増加している」としています。

外国人旅行者をめぐっては、中国政府が、8月10日に日本への団体旅行を解禁すると発表しています。

円安傾向も追い風に訪日客の増加が続く中、今後、中国からの旅行者がさらに増えることで、外国人旅行者全体の数も、コロナ禍前を上回る水準まで回復するか、注目されます。

観光地からは期待の声

横浜中華街では、新型コロナウイルスの影響で外国人観光客が大きく減りましたが、5月ごろから徐々に増えてきているということで、店からも期待の声が上がっています。

15日、イタリアから家族と中華街を訪れていた男性は「日本が大好きで、今までも来たことがあったのですが、コロナが落ち着いたのでまた来ようと思いました」と話していました。

ニュージーランドから訪れた女性は「香川県の直島に行く予定だったのですが、台風の影響でプランを変更して、横浜に来ました」と話していました。

また、ベトナムから訪れた女性は「有名な場所なので横浜中華街に来ました。とてもきれいなところだと思います」と話していました。

店からも期待の声が上がっています。

昭和2年創業の中国料理店「一楽」では、外国人観光客向けに英語の表記と料理の写真を載せたメニューを用意していて、宗教上食べられないものがある人のために、使っている食材も表示しています。

客の多くは日本人ですが、2か月ほど前から外国人客が増えてきたということです。

呉政則代表取締役は「外国人観光客はコロナ前の水準に戻ってきた印象があります。この町に経済効果があるので大歓迎です。日本の景気はまだそこまでよくないと思うので、海外の方が来ることで景気を刺激してもらえると助かります」と話していました。

「オーバーツーリズム」への懸念も

外国人旅行者の増加で、経済の活性化を期待する声がある一方、観光客が増えすぎることで住民生活に弊害を及ぼす「オーバーツーリズム」への懸念もあります。

この問題に詳しい東洋大学の古屋秀樹教授は「商業者側はより多くの旅行者に来てほしいと考えるが、地域住民にすれば限度があると考えている。自治体を含めた関係者が、オーバーツーリズムへの対策を議論する必要があるのではないか」と指摘します。

また、観光客が一部の人気観光地に集中する傾向があるとして、「魅力があっても外国人に知られていない観光地が多くある。そこを旅行者に知ってもらい、分散してもらうような仕組みを考えないといけない」と述べています。