校則を3週間撤廃 生徒が向き合った校則とは

行き過ぎた校則、いわゆる“ブラック校則”が問題となり、全国で校則の見直しが進められています。
新型コロナの感染拡大に伴って私服での登校を認めている岐阜市にある岐阜県立岐山高校ではことし6月、髪型や化粧に関する校則を3週間にわたり一時的に撤廃しました。
狙いは、当事者である生徒たちに校則について考えてもらうことでした。

昭和33年創立の岐阜県立岐山高校。
生徒数はおよそ930人。
ほとんどの生徒が大学に進学します。

“自由ってなんだ”石神校長の問いかけ

6月に開かれた全校集会。
石神政幸校長が問いかけました。

「校則なんて必要ないかなと思っています。それぞれ一人ひとりきちんと岐山高生としての行動ができるのあれば。岐山高校生としての自由ってなんだ。そこを各自考えてほしい」。

“清楚を旨とする”。
髪型と化粧に関する校則。
髪の毛の着色や脱色、化粧をすることを禁止しています。
制定された時期は分からないということです。
石神校長はこの校則を6月30日まで3週間、一時的に撤廃すると宣言。
生徒たちに必要性を考えるよう求めました。

1週目 “エクステ”を着けて登校する生徒も

最初の月曜日。
女子生徒の1人がピンクの“エクステ”を着けて登校しました。
「めちゃくちゃかわいい」。
「やばいかなって思ったけど意外とほめてもらえてうれしい」。

「いいっすね、変化があって」
男子生徒は好意的に受け止めていました。

多くの生徒はこれまでと変わらない様子でした。

2週目 規定の撤廃は“やる気につながった”という生徒も

2週目。
大きな変化は見当たりません。
化粧やヘアアレンジをした生徒は、規定の撤廃は“やる気につながっている”と前向きに捉えていました。

「日常に彩りが加わった。新鮮な感じ」。
「おしゃれができることで朝とかちょっと大変なんですけど来たらほめてもらえる。モチベーションが上がっていい感じです」。

3週目 “周りの目も気にしないといけない”

最後の週。
このクラスのほとんどの生徒の髪型は3週間前と変わりませんでした。
ただ、いろいろと思いを巡らせていました。

「心配の目で大人からは見られて、周りの目も気にしないといけないと思った」。

「学生らしさって何かって思うことが増えました。高校生だから見た目をかかわいくしたいと思うけど、面倒な部分もあってそこに時間を割いちゃうのはもったいない」。

校長などを交え3週間を振り返る

有志およそ30人が校長などを交え3週間を振り返りました。
「10ある時間に3くらいを化粧に割いていたら、それは岐山高校生としてどうなのかなって」。
「みんな茶髪とかピンクもありみたいな。そういう学校は自分の母校として、紹介したくない」。

慎重な意見が相次ぎました。
その一方で。

「自己肯定感が上がったという意見が出てきた。続けていってもいいんじゃないか」。

「クラスの4人髪染めてた人がいるんですけど、全員黒に戻った。責任をもつということは、『やめろ』と言われた時にすぐやめる行動が取れることだと思ったので、自由のままでいいと思う」。

この日、結論はでませんでした。

“賛否両論あっていい”

「彼らはいろいろ考えてくれました。賛否両論ありましたし、賛否両論あっていい。学校という場所ですので、1000人が暮らしている場所ですので、やっぱりいろんなことが起きます。その中でどうやって過ごしていくかっていうのを、学んでいってほしい」。