米兵の越境問題 北朝鮮 “兵士は北朝鮮や第三国に亡命の意思”

7月、韓国と北朝鮮の軍事境界線を越えて北朝鮮側に入ったアメリカ軍の兵士について、北朝鮮の国営メディアは初めて言及し、兵士は「アメリカ軍での非人間的な虐待と人種差別に反感を抱いた」としたうえで、北朝鮮や第三国に亡命する意思を示したと主張しました。

韓国と北朝鮮の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)では、7月18日、JSA=共同警備区域を見学するツアーに参加していた、在韓アメリカ軍の男性兵士1人が、許可なく軍事境界線を越えて北朝鮮側に入りました。

これについて北朝鮮は16日、国営の朝鮮中央通信を通じて初めて言及し、調査に対して兵士は、不法侵入した事実を認めるとともに「アメリカ軍での非人間的な虐待と人種差別に反感を抱き、越境する決心をしたと自白した」と強調しました。

そのうえで北朝鮮は、兵士が「不平等なアメリカ社会に幻滅を感じた」として、北朝鮮や第三国に亡命する意思を示したと主張しました。

調査は今後も続くとしています。

この兵士をめぐって、アメリカのメディアは、軍の懲戒処分を受けることになり、アメリカに帰国する予定だったと伝えていて、在韓アメリカ軍は、事態の解決に向けて北朝鮮軍とやり取りしていると明らかにしていました。

米国防総省「優先事項は兵士を帰国させること」

アメリカ国防総省の報道担当者は15日、北朝鮮の国営メディアが「兵士が亡命する意思を示した」などと主張したことについて「本当かどうか確認できない」とした上で「われわれの優先事項は兵士を帰国させることであり、あらゆる連絡ルートを通じて働きかけている」と強調しました。