【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ドネツク州の集落 “ウロジャイネ解放”

ウクライナのマリャル国防次官は16日、東部ドネツク州のウロジャイネを解放したとSNSに投稿し、現地で守備を固めつつあると主張しました。

ウロジャイネは、ウクライナが7月末に奪還したとみられるドネツク州のスタロマヨルシケに隣接する集落で、ウクライナ側が着実に反転攻勢を進めていることをアピールした形です。

ウロジャイネについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は15日、ロシア軍の大部分が中心部から撤退した可能性があるものの、ウクライナ軍が完全におさえているわけではなく、限定的な攻防が続いている可能性が高いと分析しています。

初めての貨物船 黒海の臨時航路使いオデーサ出港

ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相は16日、SNSで、黒海に面した港に民間の船舶が出入りするためにウクライナが8月に新たに設けた臨時航路を使って、初めての貨物船がオデーサの港を出たと発表しました。

それによりますと、貨物船は香港船籍で、16日にオデーサの港を出て、食料を含む3万トン以上の貨物を積んで、ボスポラス海峡に向かっているということです。

発表では、「船が最後にオデーサの港を出たのは先月16日だった」として、7月にロシアがウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止して以降、船舶がウクライナの港を出るのはこれが初めてだとしています。

今回、貨物船が使用した臨時航路は、ウクライナ海軍が8月10日に民間の船舶が黒海に面したウクライナ南部の港に出入りするために設けたと発表したものです。

黒海での船舶の航行をめぐっては、ロシア国防省が8月13日に、黒海の南西海域でロシア海軍の哨戒艦がウクライナに向かっていたとするパラオ船籍の貨物船に警告のための発砲を行い、強制的に停船させて検査を行ったと発表するなど、緊迫した事態も起きていました。

ウクライナ農産物輸出 貨物船出港も攻撃続く

ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相は16日、SNSで、食料を含む3万トン以上の貨物を積んだ香港船籍の貨物船がオデーサの港を出たと発表しました。

先月、ロシアがウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止して以降、船舶がウクライナの港を出るのはこれが初めてだとしています。

貨物船は黒海に面した港に民間の船舶が出入りできるようウクライナが今月、新たに設けた臨時航路を使ってボスポラス海峡に向かっているということです。

一方、そのオデーサ州の港湾インフラがロシア軍により無人機で攻撃されたと16日、ウクライナ空軍が発表しました。

オデーサ州と、隣接するミコライウ州でイラン製の無人機あわせて13機を撃墜したとしていますが、オデーサ州の知事は、ドナウ川沿いの港が攻撃されて穀物倉庫などが被害を受けたとSNSに投稿しました。

ロシアは先月以来、オデーサ州の港などに向けてミサイルや無人機による攻撃を繰り返していて、ウクライナ産農産物の輸出が安全に再開できるかは依然不透明です。

ゼレンスキー大統領 “兵士の訓練 経験の共有” 必要性強調

ゼレンスキー大統領は15日、南部ザポリージャ州の前線を視察したあと、新たな動画メッセージを公開し、「兵士の訓練は重要な任務のひとつだ」と述べ、戦闘経験の少ない兵士などの訓練を重点的に行う必要性を強調しました。

そして、「実際の戦闘経験や戦場での課題、兵士のスキルなどは、すべての旅団で共有される必要がある」としたうえで、「旅団ごとにコミュニケーションをとれば戦況をより深く評価できる」と述べ、部隊間でそれぞれの経験を共有するなど連携する重要性を指摘しました。

また、ゼレンスキー大統領は、戦地では電子戦のための装備や無人機などが必要だということが確認されたとしています。

その上で、「パートナーから供与された装備や兵器について指揮官から話を聞いた。それを受けて各国の指導者と話し合う」と述べ、欧米が供与している兵器をより効果的に使用するため今後、各国の首脳と意見を交わす考えを示しました。

ウクライナ軍が進めている反転攻勢を巡っては、兵士の訓練や部隊間の連携が不足していることなどを背景に、思うように進んでいないという指摘が専門家の間で出るなか、ゼレンスキー大統領としてはみずから前線に赴くことで部隊が抱える課題を確認したとみられます。

ゼレンスキー大統領 前線の部隊を激励

南部ザポリージャ州の前線の部隊を激励しているとする動画をSNSに投稿しました。

前の日のドネツク州の前線訪問に続くもので、ゼレンスキー大統領は指揮官から戦況報告を受けたうえで、防空システムや無人機など、必要な軍備について話しあうなど、領土の奪還に向けて勢いをつけたいねらいもあるとみられます。

前線の視察を終えたゼレンスキー大統領は新たに公表した動画メッセージで、「兵士の訓練は重要な任務のひとつだ。実際の戦闘経験や戦場での課題、兵士のスキルなどは、すべての旅団で共有される必要がある」と述べ、兵士の訓練や部隊間の連携を進める必要性を強調しました。

ウクライナ内相“スウェーデンの大手企業の工場が被害に”

ウクライナのクリメンコ内相は15日、ロシア軍のミサイル攻撃によって8つの州で被害が報告され、あわせて住民3人が死亡、27人がけがをしたほか、集合住宅や医療機関、教育施設などが損壊したとSNSで発表しました。

このうち、ポーランドとの国境に近いウクライナ西部のリビウやルツクでも大きな被害が出て、ロイター通信は、ルツクで被害を受けた建物はスウェーデンの大手企業の工場で、従業員3人が死亡したと会社側の話として伝えています。

これに対してロシア国防省の報道官は15日、集中的に行った攻撃の標的は軍事関連の施設だったと主張しました。

ウクライナ首相“スポーツ選手やコーチら340人死亡”

ウクライナのシュミハリ首相は14日SNSで、ロシアによる軍事侵攻でウクライナのスポーツ選手やコーチ合わせて340人が死亡し、343か所のスポーツ施設が破壊されたと明らかにしました。

その上で、来年開催予定のパリオリンピックについて、軍事侵攻を続けるロシアと、同盟関係にあるベラルーシを念頭に、「スポーツと軍事侵攻は両立しない。ウクライナ人の血で自らを汚した国は参加できない」と訴えました。

さらに、「35か国が参加する公正なスポーツのための強力な国際連合を結成した。ロシアとベラルーシの出場が認められた場合、われわれはパリオリンピックをボイコットする用意がある」として、見解をともにする国々とともに、大会のボイコットも辞さない考えを示しました。

また、ウクライナのオリンピック委員会は14日、声明を発表し、大会への参加について、「まだ最終的な判断はしていない」として、IOC=国際オリンピック委員会がロシアとベラルーシの選手の出場を認めるかどうかの決定によって判断するとしています。

ウクライナ“ロシア軍のミサイルや無人機に外国製の半導体”

ウクライナ大統領府のイエルマク長官は15日、ウクライナへの攻撃に使われたロシア軍のミサイルや無人機に外国製の電子部品が使われていたとSNS上で明らかにしました。

それによりますと、14日夜に行われた攻撃で使われたロシア製の空中発射型の巡航ミサイルを調べたところ、製造されたのはことしの春で、およそ30の外国製の半導体が使用されていたことがわかったとしています。

欧米各国の政府とともに、なぜ使用されていたかについて情報収集を行い、各国も国内の製造業者などと調査を進めているということです。

欧米各国はロシアがミサイルなどを製造できないよう、半導体の輸出を禁じる制裁を導入していますが、第3国などを通じてロシアが入手するケースが後を絶たないと指摘されています。

また、イエルマク長官によりますと、ロシア製の自爆型無人機「ランセット」にも西側諸国などが製造した少なくとも19の電子部品が含まれていたということです。

イエルマク長官は「ロシアに対する制裁をさらに強化することが必要だ」と指摘しています。

中国国防相 ロシアで演説 台湾に関してアメリカをけん制

中国の李尚福国防相はロシアを訪問し、首都モスクワの郊外で開かれた国際安全保障会議で15日、演説しました。

中国国防省によりますと、この中で李国防相は「台湾問題は中国の内政であり、いかなる外国の干渉も許さない」と主張しました。

その上で、「台湾問題で火遊びし、台湾を利用して中国を抑え込もうとするたくらみは必ず失敗に終わるだろう」と述べ、台湾への関与を強めるアメリカをけん制しました。

また、会議の期間中に李国防相とロシアのショイグ国防相が会談し、両軍の協力について意見を交わしたということです。

一方、ショイグ国防相は会談で、両国がパトロールや軍事演習を合同で実施し、軍事面で積極的に交流していると指摘した上で、「ロシアと中国は戦略的パートナーであるとともに、よき隣人であり信頼できる友人だ」と述べ、両国の結束を強調しました。

ロシア国防省 貨物船の強制停船・検査の様子とする映像を公開

ロシア国防省は15日、黒海の沖合で13日、ウクライナ南部の港に向かっていた貨物船に対して警告のため発砲し、強制的に停船させて検査を行ったときの様子だとする映像を公開しました。

映像はおよそ2分間に編集され、ロシア海軍の兵士がヘリコプターから貨物船に乗り込み、乗組員に銃を向けながら、英語で船のエンジンを止めるよう指示したり、書類を検査したりしている様子がうつっています。

ロシア国防省は13日、ウクライナ南部の港に向かっていたパラオ船籍の貨物船について、「禁止された貨物がないか検査しようと停船を求めたが応じなかった」として、警告のため発砲したと主張しています。

黒海をめぐってロシアは先月、ウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止した上、黒海でウクライナに向かう船舶は軍事物資を輸送している可能性があるとみなすなどと警告していました。

ロシアによる臨検を受けてウクライナはポドリャク大統領府顧問が13日、SNSに、「明らかな国際法違反で海賊行為だ」と投稿するなど非難しています。

ロシア国防省は15日の発表で、「検査は国際的な要件に従って実施された」と主張し、ロシアとしては実際に臨検に踏み切ることで威嚇しつつ、映像を公開して、規定の手続きに沿った行為だと正当化するねらいもあるとみられます。

ロシア中央銀行 政策金利を12%に引き上げ

ロシアの中央銀行は15日、臨時の会合を開き、政策金利を今の8.5%から12%に引き上げると発表しました。

声明では、インフレ圧力が高まるなか物価の安定に向けた措置だと説明しています。

このところルーブルの下落が加速し、前日、14日の取り引きでは一時、1ドル=100ルーブル台をつけていました。

ロシア中央銀行はウクライナ侵攻直後の去年2月、ルーブルの急落に対応するため、政策金利を9.5%から20%に引き上げたあと段階的に引き下げましたが、先月、利上げに転換していました。

ルーブルの下落は、欧米などの経済制裁の強化による石油や天然ガスの輸出額の落ち込みや、軍事費の増加による財政悪化への懸念などが背景にあるとする指摘も出ています。

イギリスの新聞フィナンシャル・タイムズは「今回の利上げの決定ですぐに為替相場が安定するとは限らない」とする市場関係者の見方を伝えています。