鳥取県 大雨特別警報は警報に切り替え 24時間雨量が最多地点も

台風7号の影響で気象庁は午後4時40分に鳥取市北部と南部に大雨の特別警報を発表しましたが、午後11時10分、大雨警報に切り替えました。

一方で土砂災害や川の氾濫の危険性は依然として高いところがあり、気象庁は厳重な警戒を続けるとともに、自治体の出す情報に従って安全を確保してほしいと呼びかけています。

鳥取県の雨の推移 24時間雨量は489.5ミリ

鳥取県では15日未明から特に雨が強まり、「記録的短時間大雨情報」が3回発表されたほか、朝には「顕著な大雨に関する情報」も発表されていました。

このうち午前4時半までの1時間に
▽鳥取市河原付近でおよそ100ミリの猛烈な雨が降ったとみられるほか、
▽鳥取市佐治で91ミリの猛烈な雨を観測しました。

さらに、午前8時までの1時間に
▽鳥取市鹿野付近でおよそ100ミリ、
▽鳥取市鳥取付近と鳥取県三朝町付近でいずれもおよそ90ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、
気象庁は明け方からけさにかけて鳥取県にあわせて3回、「記録的短時間大雨情報」を発表しました。

午前8時前には鳥取県で線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が同じ場所に降り続いているとして「顕著な大雨に関する情報」が発表されました。

その後も鳥取県では断続的に非常に激しい雨が降り
▽鳥取市佐治では午後6時半までの24時間雨量が489.5ミリに達し、1982年に統計を取り始めてから最も多くなっていました。

大雨特別警報が出た当時の状況は

気象庁によりますと台風7号は15日明け方に和歌山県潮岬付近に上陸したあと北上して海上へ抜け、午後1時ごろ兵庫県明石市付近に再び上陸しました。

午後5時には、兵庫県豊岡市の南南西40キロを1時間に15キロの速さで北北西へ進んでいるとみられます。

中心の気圧は985ヘクトパスカル、最大風速は25メートル、最大瞬間風速は35メートルで、暴風域は無くなりましたが中心から半径280キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。

この時間は中国地方や近畿を中心に雨が強まっていて、特に鳥取県では大雨になっています。

午後4時までの1時間に
▽鳥取市鹿野で58ミリの非常に激しい雨が降ったほか
▽岡山県鏡野町上齋原で32ミリの激しい雨が降りました。

15日午前にかけての6時間の最大雨量は
▽岡山県の鏡野町上齋原で239.5ミリ
▽鳥取市佐治で230.5ミリ
▽京都府綾部市の睦寄で190ミリと
いずれも平年の8月1か月分を上回り、観測史上最も多くなりました。

鳥取市周辺ではこれまでの大雨で洪水の危険度が極めて高くなっています。

このため気象庁は午後4時40分、鳥取市北部と南部に大雨の特別警報を発表しました。

5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる情報で最大級の警戒が必要です。

鳥取県では、数十年に一度のこれまで経験したことのないような大雨となっていて、土砂崩れや浸水などによる重大な災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況です。

気象庁は、周囲の状況を確認し、避難場所までの移動が危険な場合には近くの頑丈な建物に移動したり、外に出るのがすでに危険な場合は建物の2階以上で崖や斜面と反対側の部屋に移動したりするなど、少しでも命が助かる可能性が高い行動を取るよう呼びかけています。

気象庁によりますと、鳥取県に特別警報が発表されたのは、5年前の2018年7月6日の西日本豪雨以来です。

台風はこのあと近畿地方を縦断する見込みで、鳥取県を含む中国地方では「線状降水帯」が発生する可能性があります。

気象庁は鳥取県では土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に最大級の警戒をするよう呼びかけています。

落雷や竜巻などの激しい突風にも十分注意が必要です。

気象庁「直ちに身の安全を確保しなければならない状況」

鳥取県内に大雨の特別警報が発表されたことを受け、気象庁と国土交通省は合同で記者会見を開き、気象庁の杉本悟史予報課長は、「特別警報を発表した地域では、これまでに経験したことのないような大雨となっている。すでに何らかの災害が発生している可能性が極めて高く、警戒レベル5に相当する。命の危険が迫っている。直ちに身の安全を確保しなければならない状況だ」と述べました。

そのうえで、「指定された避難場所への避難がかえって危険な場合には、崖から離れた建物や少しでも浸水しにくい高い場所に移動するなど、身の安全を確保する必要がある。また、ふだん災害が起きないと思われているような場所でも最大級の警戒が必要だ。今後、ほかの市町村にも大雨特別警報を発表する可能性があり、発表されてからの避難は手遅れとなる。自分の命、大切な人の命を守るため、特別警報の発表を待たず、自治体の避難の情報に直ちに従って身の安全を確保してほしい」と呼びかけました。

また、国土交通省の豊口佳之 河川環境課長は、「大河川の場合は雨が降りやんでからも水位が上がる可能性があり、雨がやんだり台風が離れたりしたからといって安心しないでほしい。また、本川の水位が高いことで支川や水路などから水がはけにくくなっていて周囲で浸水が起きている可能性もある」と指摘しました。

その上で、「暗い時間帯で足元が浸水しているおそれもあるので、少なくとも朝までは出かけて川の様子を見に行くようなことはしないでほしい。お住まいの近くが浸水している可能性があると考えて行動してほしい」と呼びかけました。

鳥取気象台“特別警報待たずに直ちに安全確保を”

鳥取地方気象台は、鳥取県内の大雨の状況について午後6時から会見を行い、「これまでさほど雨が降っていない県中部や西部にも雨雲が流れ込んでくるおそれがある」として、鳥取市以外の地域にも今後、大雨特別警報を発表する可能性があるため直ちに身の安全を確保するよう呼びかけました。

鳥取地方気象台は「これまでに経験したことのない大雨となっていて、何らかの災害がすでに発生している可能性がきわめて高く、命の危険が迫っている状況だ」と説明しました。

その上で鳥取市以外のほかの市町村にも今後、大雨特別警報を出す可能性があるとして特別警報の発表を待たずに直ちに身の安全を確保するよう呼びかけました。

鳥取地方気象台の櫻井敬三台長は「これまでさほど雨が降っていない県中部や西部にも雨雲が流れ込んでくるおそれがあり、中部や西部にも大雨特別警報を出す可能性がある。土砂災害が発生すれば一瞬で大勢の命を奪ってしまう可能性があるので、特別警報が発令されていない地域ではできるだけ早めの避難をお願いしたい」と呼びかけています。