ハワイ 山火事 依然鎮火に至らず 行方不明者の捜索続く

ハワイのマウイ島で起きた山火事は、依然として鎮火には至っておらず、行方が分からない人たちの捜索が続けられています。山火事の原因は特定されていませんが、アメリカの複数の有力メディアは、強風によって切れた送電線が火元になった可能性があるという専門家の見方を伝えています。

今月8日にハワイのマウイ島で起きた山火事では、ハリケーンに伴う強風にあおられて西部の観光地ラハイナが壊滅的な被害を受け、これまでに確認された死者は99人と、アメリカの山火事の犠牲者としてはこの100年余りで最も多くなっています。

依然として鎮火には至っておらず、行方が分からない人たちの捜索が続けられています。

捜索を終えた範囲は、14日現在で被害を受けた地域全体の25%ほどにとどまっていて、犠牲者の数がさらに増えるおそれがあります。

山火事の原因は特定されていませんが、マウイ島ではおよそ400本の電柱が被害を受けたということで、アメリカの複数の有力メディアは、強風によって切れた送電線が火元になった可能性があるという専門家の見方を伝えています。

こうした中、マウイ島には、ハワイの別の島からも飲料水や寝具などさまざまな支援物資が届けられています。

物資を運ぶ準備をしているカレフア・カヘレさんは「ただ何かをしたいという思いでこれだけの物資が届いています。これがハワイのつながりです」と話していました。

また、アメリカ西部のシアトルから駆けつけたというハワイ出身の消防士の男性は「ニュースを聞いて大きなショックを受け、できることをしなければと思って来ました」と話していました。

“すべてはみんなのため” 地元FM局が住民の疑問に答える

マウイ島の山火事では、大勢の人たちが自宅を失うなどして避難生活を余儀なくされているほか、被災した地域への立ち入りが規制されていて、正確な情報の伝達が大きな課題になっています。

こうした中、地元のFM局「KPOA」は、1日に3回、行政当局からのお知らせを伝えているのに加え、放送を通じて住民らの疑問に答えるなどして、きめ細かい情報提供を行っています。

14日も、パーソナリティーのシェーン・カハレハウさんが、この日から発行が始まった、ラハイナ周辺に入るための通行証の入手方法について、詳しく説明していました。

また、音楽をかけている間は、みずからパソコンで行政の情報やSNSをチェックしたり、リスナーからの電話による質問に答えたりしていました。

カハレハウさんは「特にラハイナ周辺で避難所に行かずに自宅にとどまっている住民は、何が起きているのか、必要なものがどこで手に入るのかなど、正しい情報を求めています。大変な作業ですが、すべてはみんなのためです」と話していました。

山火事のあと、リスナーからは、地元のバンドが歌う「ラハイナ育ち」というヒット曲のリクエストが多く、1時間に1回はかけていると言います。

カハレハウさんは「ハワイの古い都であるラハイナのことを歌った歌は数多くあります。人々は曲に思い出を重ね、町で育った誇りを感じています」と話していました。

松野官房長官 “在留邦人の安全確保など最優先に対応”

松野官房長官は、記者会見で「在留邦人の住宅が被災したとの情報はあるが、生命や身体に被害が及んでいるとの情報には接していない。今後もホノルルの総領事館を中心に現地の状況の正確な把握に努めつつ、在留邦人の安全確保などを最優先に対応していく」と述べました。

そのうえで「アメリカ政府やハワイ州政府とは緊密に意思疎通しており、支援要請がある場合にはわが国として必要な支援を行う用意がある旨を伝えている」と述べました。