【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 “無人機の生産が最重要課題”

ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、東部ドネツク州の前線を訪問して部隊を激励し、SNSでその様子を公開しました。

その後に公開した動画では無人機をめぐって「ウクライナでの生産やパートナーからの供給などを増やす必要があり、最重要課題の一つだ」と述べ、ロシアへの反転攻勢にあたって無人機の有効性を重視しているものとみられます。

プーチン大統領「欧米が紛争を激化させている」

ロシアのプーチン大統領は15日、中国の李尚福 国防相など各国の軍事関係者を招いて開いている国際会議にビデオメッセージを送り、欧米が「多額の資金を投入して武器や弾薬を供与し、軍事顧問などを送り込むことで紛争をさらに激化させている」と主張し、ウクライナへの軍事支援を続ける欧米を改めてけん制しました。

ロシア軍 各地でミサイル攻撃 ウクライナ住民4人死亡

ウクライナ空軍は15日、ロシア軍が各地に巡航ミサイル少なくとも28発を撃ち込んだほか、東部のドニプロペトロウシク州や南部ザポリージャ州で地対空ミサイルによる攻撃が仕掛けられたと発表しました。

このうち巡航ミサイル16発を撃墜したとしていますが、ウクライナ大統領府のクレバ副長官は、一連の攻撃によって西部の都市ルツクで住民3人が死亡したほか、東部ドネツク州のクラマトルシクで1人が死亡したとSNSに投稿しました。

また、西部リビウの市長によりますと、ロシア側の攻撃で合わせて100棟以上の家屋が損壊し、幼稚園にも被害が出たということです。

攻撃を受けてウクライナ大統領府のイエルマク長官はSNSに「ロシアの目的はわれわれの戦意をくじくことだ。しかし、敵はわれわれを打ち負かすことはできない」と投稿し、徹底して反転攻勢を進めていく姿勢を強調しました。

ロシア南部のガソリンスタンドで爆発 30人死亡

ロシア非常事態省によりますと、ロシア南部ダゲスタン共和国の中心都市マハチカラにある自動車整備工場で14日夜、火災が起き、火が近くのガソリンスタンドに燃え移りました。

国営タス通信は、地元当局の情報として、この火災でガソリンスタンドにあった複数の燃料タンクが爆発したと伝えています。

現場で撮影された映像では、激しい炎とともに煙が上がり、何かが爆発するような音も聞こえます。

火はその後消し止められましたが、非常事態省によりますと、これまでに30人が死亡したほか、70人以上が巻き込まれてけがをしたということです。

捜査当局は自動車整備工場で整備作業中に火が出たという見方を示していて、詳しい原因を調べています。

ロシア 各地でミサイル攻撃 ウクライナ住民3人死亡

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、14日も各地で攻撃を繰り返し、南部ザポリージャ州ではロシア軍のミサイル攻撃で住民2人が死亡したほか、東部ハルキウ州でもロシア軍の砲撃で男性1人が死亡したと、それぞれ地元当局がSNSで発表しました。

戦況について、ウクライナのマリャル国防次官は14日、東部ドネツク州のウロジャイネ周辺で「前進し陣地を固めつつある」とSNSに投稿し、反転攻勢で一定の成果を強調する一方、州都ドネツク近郊ではロシア側が進軍を試みていて、依然として困難で緊迫した状況だという認識を示しました。

プーチン大統領 “ロシア製兵器 優位性失われたわけではない”

ロシアのプーチン大統領は、各国の軍事関係者を招いて開いた軍事フォーラムで、ロシアが多くの最新兵器を輸出してきたと強調し、ウクライナ侵攻で多くの兵器を失う中にあっても、ロシア製兵器の優位性が失われたわけではないと強気の姿勢を見せました。

ロシアの首都モスクワ郊外で14日、毎年恒例の国際軍事フォーラムが開幕し、会場では冒頭、プーチン大統領のビデオメッセージが上映されました。

このなかでプーチン大統領は「ロシアはさまざまな最新兵器をパートナーに提供している。偵察システムや精密兵器なども含まれる」と述べ、ロシアが多くの最新兵器を輸出してきたと強調しました。

ウクライナ侵攻で多くの兵器を失う中にあっても、ロシア製兵器の優位性が失われたわけではないと強気の姿勢を見せたものです。

また、プーチン大統領は、「フォーラムでとくに注目されるのは無人航空機だ。この分野は軍民ともに活発に開発が進められている」と述べウクライナ侵攻で欧米製の戦車などへの攻撃にも使っているロシア製の自爆型無人機「ランセット」などを念頭に、開発や増産を進める姿勢を示しました。

一方、開幕式では、ロシアのショイグ国防相が会場であいさつし「大々的に宣伝されている西側の軍備は、完璧とはほど遠いことが明らかになった」と主張し、フォーラムに参加した各国の軍事関係者に対してロシア製兵器についてアピールしました。

米国防総省 ウクライナに追加で2億ドルの軍事支援

アメリカ国防総省は14日、ウクライナに対する追加の軍事支援を発表しました。

それによりますと、地対空ミサイルシステム「パトリオット」に使用する追加のミサイルや射程が長く、精密な攻撃が可能とされる高機動ロケット砲システム=「ハイマース」に使われるロケット弾など、最大で2億ドル相当、日本円にしておよそ288億円相当の兵器を供与するとしています。

ブリンケン国務長官は声明を出し「ロシアが戦争を終わらせるまで、アメリカとその同盟国や友好国は、必要な限り、ウクライナに連帯し続ける」と強調しました。

ルーブル値下がり 去年3月以来の安値

ロシアの通貨・ルーブルが、14日、モスクワの外国為替の取り引きで1ドル=101ルーブルまで値下がりしました。これは去年3月23日以来の安値です。

ルーブルはウクライナへの軍事侵攻直後の去年3月、1ドル=150ルーブル前後まで急落しました。

その後、天然ガスの代金の支払いをルーブルで行うよう求めるといったロシア側の通貨防衛策などにより4月には、侵攻前の水準まで回復しました。

ことしに入ると再び下落傾向が続き、欧米などの経済制裁の強化による石油や天然ガスの輸出額の落ち込みや軍事費の増加による財政の悪化への懸念などが背景にあるとする指摘も出ていました。

ルーブルの下落についてロシア中央銀行は14日、インターファクス通信の取材に対し「輸出額の大幅な減少に加え、輸入需要が拡大している」として制裁などでエネルギー輸出による収入が減り経常収支が悪化していることが主な理由だとする見方を示しました。

一方、プーチン政権で経済を担当するオレシュキン大統領補佐官は、14日に公開された国営タス通信への寄稿で「ルーブル安とインフレ加速の主な要因は緩和的な金融政策だ」と主張し中央銀行に批判的な見方を示しました。

戦時下でもサッカーを プロリーグ無観客でも続く

ウクライナのプロサッカーの「プレミアリーグ」は16チームが所属していて、ロシアによる軍事侵攻以降、2年目にあたる新しいシーズンが先月から始まっています。

14日は、キーウにあるスタジアムで公式戦が行われ、キックオフの前には選手たちがセンターサークルに並び、犠牲者に黙とうをささげました。

ウクライナでは、各地でミサイルや無人機による攻撃が相次ぎ防空警報が頻繁に出されるため、試合はすべて無観客で行われ、テレビやインターネットで中継されています。

試合中に警報が出た場合には試合が中断され、選手や審判らはスタジアムに設けられているシェルターに避難しなければなりません。

リーグでは、本拠地の変更を余儀なくされるチームが出ていて、この日の試合でホームチームとして戦ったシャフタール・ドネツクも、もとは東部のドネツクが拠点でした。

試合は、シャフタール・ドネツクが前半に2点を挙げ、後半の相手チームの反撃を1点におさえて競り勝ちました。

ディフェンダーのチグリンスキー選手は、戦時下でもサッカーの公式戦を続けていることについて「試合をするのは普通の生活であることを示すものであり、それが重要だ」と話していました。