山口 上関町 中間貯蔵施設 18日に臨時議会開き 町長が返答へ

中国電力が山口県上関町で使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」の建設に向けた調査を行う意向を示していることを受けて、町議会は今月18日に議員の意見を聞く臨時議会を開くことを決めました。町長は調査を受け入れるかどうか、その日のうちに中国電力に返答する意向です。

中国電力は今月2日、原子力発電所で使い終わった核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」の建設に向けた調査を上関町にある中国電力の敷地内で行う意向を示しています。

これを受けて14日、町議会の議会運営委員会が非公開で開かれ、今月18日の午前9時から臨時議会を開くことを決めました。

臨時議会では西哲夫町長が中国電力の提案について説明したあと、町長自身の意見を伝えるということです。

その後、議員一人一人から意見を聞き、採決は取らずに調査を受け入れるかどうかを町長が総合的に判断して、その日のうちに中国電力に返答する意向です。

調査に反対する山戸孝議員は「臨時議会を開くにもかかわらず採決を取らないことに驚いたし、質疑応答の時間もないので大変残念だ」と話していました。

西町長は「今回の話はそもそも議決案件ではないが、丁寧に議論を進めた方がよいだろうと議員の皆さんの意見を聞く機会を設けた。採決は取らないが反対意見が過半数であればもちろんその意見を尊重する」と述べました。

住民などの抗議活動受け説明会は中止

議会運営委員会に先立ち、中国電力は14日午前、上関町役場で議員向けの説明会を開く予定でしたが、住民などの抗議活動を受けて、説明会は中止になりました。

14日は町議会からの要請で午前9時から議員向けの説明会を行う予定でした。

しかし、役場の前には1時間ほど前から反対派の住民など30人ほどが集まり、「核のゴミはいらない」などと抗議活動を行いました。

このため、説明に訪れた中国電力の幹部らが役場に入れない状態が20分ほど続き、岩木和美議長が熱中症のリスクなどを考え、説明会を中止することを決めました。

岩木議長は「議員から説明が足りないという話を受けて説明会の場を設けたのに反対派の議員は欠席し、住民の抗議で中止という結果になったのは残念だ」と述べました。

中国電力の上関原子力発電所準備事務所は「説明ができなかったことは残念に思う。引き続きご要請があれば対応したい」とコメントしています。

反対派の住民が町長に申し入れ

一方、議会運営委員会のあと町役場には反対派の住民およそ10人が訪れ、西町長に「中間貯蔵施設」の建設に向けた調査を受け入れないよう申し入れを行いました。

申し入れを行ったのは、上関町で中国電力が計画する原発の建設に反対してきた住民グループです。

住民たちは「中間貯蔵施設とは言うが、最終処分場となる懸念が避けられない」とか、「賛成・反対によって町民の分断を生む」などとする7項目の見解を記した申し入れ書を手渡し、16日までに文書で回答するよう町長に伝えました。

これに対して西町長は「今後、議員の意見も聞いて総合的に判断したい。今回はあくまで調査なので建設するという話になれば、またそれは改めて議論したい」と述べました。

申し入れのあと、住民グループの山根善夫共同代表は「臨時議会を開いたあとに住民に報告するというプロセスはおかしい。都合の悪いことは事後でいいと考えていると受け取れる」と話していました。

また、上関町を含む周辺の2市4町の議員でつくる「上関原発建設に反対する2市4町議会議員連盟」も14日、柳井市と平生町で「中間貯蔵施設」に反対するよう申し入れを行いました。

今後もそれぞれの市や町で順次、申し入れを行う予定です。