高校野球 北海が浜松開誠館にサヨナラ勝ち 3回戦へ

夏の全国高校野球、大会9日目の第3試合は、南北海道の北海高校が静岡の浜松開誠館高校に、3対2のサヨナラ勝ちで3回戦に進みました。北海は、1回戦に続く2試合連続のサヨナラ勝ちです。

浜松開誠館は1対1で迎えた8回、ランナー一塁、三塁のチャンスで4番の本多駿選手がタイムリーヒットを打って1点を勝ち越します。

対する北海はその直後、ランナー二塁のチャンスを作ると、途中出場の小保内貴堂選手のセンターへのタイムリーで再び同点に追いつきました。

北海は9回、3番の熊谷陽輝選手がヒットで出塁し、続く4番バッターが送りバントを決めてランナーを二塁に進めると、5番の関辰之助選手がレフトへのヒットを打って、3対2でサヨナラ勝ちし、3回戦進出を決めました。

北海は、1回戦に続く2試合連続のサヨナラ勝ちとなりました。

甲子園初出場の浜松開誠館は先発の廣崎漣投手が好投し、終盤まで相手にリードを許すことなく試合を運びましたが、8回途中に2人目でマウンドにあがったエースの近藤愛斗投手が抑えられませんでした。

《両チーム談話》

北海 関辰之助選手「打った瞬間手応えがあった」

9回裏にサヨナラヒットを打った北海高校の3年生の関辰之助選手は「打った瞬間手応えがあって、『越えてくれ』と思いながら走っていました」と振り返りました。また、こう着した試合展開について「相手チームは長打が多かったので、少し押され気味でした。ただ、後半になったらピッチャーが流れを作ってくれると思っていたので、それを信じていました」と話しました。次の3回戦の試合については「次の試合もきょうみたいに打てればチームも勢いづくと思うので、自分が打って流れをもっていきたい」と話していました。

北海 熊谷陽輝選手「サヨナラ勝ちできたのは練習の結果」

北海高校の3番、熊谷陽輝選手は「サヨナラ勝ちができたのは秋冬からの練習で粘って勝てるような練習をしてきたからです。甲子園でそういう結果が出てうれしい」と試合を振り返りました。リリーフで登板したことについては「前回よりも状態が少しよかった。ストレートで押すことができた」と話しました。次の3回戦の試合について「競った場面や終盤で自分たちは強いという自信がある。目標は優勝ですが、次の試合も一戦必勝で頑張りたいです」と意気込みを語りました。

浜松開誠館 吉松礼翔主将「自分たちの野球を貫くことができた」

浜松開誠館のキャプテン、吉松礼翔選手は「相手は甲子園出場を経験していて、自分たちは初出場で『思い切ってやろう』と声をかけていましたが、最後は相手のほうがうわてでした。北海高校は粘り強く、自分たちが点を入れても追いついてきて、プレッシャーがかかる試合でしたが、自分たちの野球を貫くことができました」と振り返りました。また「自分たちのやってきたことは間違いないということがわかったので、後輩にはもう一つ上のレベルにいってほしいです」と話していました。

浜松開誠館 近藤愛斗投手「キャッチャーを信じて投げた」

浜松開誠館のエースで、8回途中から登板した近藤愛斗投手は、9回にサヨナラヒットを打たれた場面について「9回表の攻撃が3人で終わって流れが悪く、エースとしていい流れに持っていこうとキャッチャーのサインを信じて投げました。自分の納得のいくストレートでしたが、打たれてしまいました」と話しました。そして「憧れの甲子園の舞台に立てたことは、人生のなかで大きいと思います。北海高校はピッチャーもすごくいいので、勝ち進んでもらいたいです」と話していました。

北海“背番号1”エースの覚悟

2試合連続のサヨナラ勝ちで3回戦進出を決めた北海高校。
その先発を任されたのは、「背番号1」を背負う岡田彗斗投手です。

「背番号1」はこれまで岡田投手がつけてきた番号ではありませんでした。
北海高校の投打の柱、熊谷陽輝投手が背負ってきましたが、ことし3月、右ひじを痛めて岡田投手に託されたのです。

1回戦、岡田投手は大分の明豊高校相手に4人目で登板し、2イニングあまりを投げて6失点と崩れました。

「自分だけふがいないピッチングをしてしまった」と悔やむ一方、「『1番』をつけている以上、気持ちを見せないといけない」と、強い気持ちで臨んだ14日の試合。
夏の甲子園で初めて先発を務めた岡田投手は「後攻だったので1番最初にマウンドに上がれてうれしかった」とまっさらなマウンドを踏みしめました。

試合は1回、先頭バッターにいきなりツーベースヒットを許します。

それでもその後は、「目の前のバッターを抑えてチームにいい流れを持ってくるだけ」と3者連続三振に抑え、冷静に切り抜けました。

2回以降もランナーを出しながらも4回までに8つの三振を奪う好投で、浜松開誠館を1失点に抑えます。

5回途中で一時マウンドを降り、サードの守備につきましたが、7回に再びマウンドにあがった岡田投手。
1イニングを3者凡退に抑え、8回から熊谷投手につなぎ、逆転サヨナラ勝ちに導きました。

試合のあと、岡田投手は「熊谷がああいう形で背番号『3』に変わって、自分が『1』を譲り受け、そこで本当に自覚と責任が芽生えてここまでやってきた。エースの覚悟はある」と真剣な表情で話しました。

「背番号1」の重さを感じながらもチームを引っ張る、エースの覚悟を示した岡田投手。

3回戦で鹿児島の神村学園との試合に臨みます。