円安進む 一時1ドル=145円台前半に 去年11月以来の円安水準

週明けの東京外国為替市場はアメリカの金融引き締めが長期化するという見方を背景にアメリカの長期金利が上昇したことから日米の金利差の拡大が意識されて円安が進み、円相場は一時、1ドル=145円台前半まで値下がりしました。去年11月以来の円安水準で、ことしの最安値を更新しました。

週明けの14日の東京外国為替市場では、先週末に公表されたアメリカの先月の卸売物価指数の伸びが市場予想を上回ったことからインフレを抑えるためのアメリカの金融引き締めが長期化するという見方が広がりました。

このためアメリカの長期金利が上昇したことから日米の金利差の拡大が意識されて円安が進み円相場は一時、1ドル=145円台前半まで値下がりしました。

去年11月以来、およそ9か月ぶりの円安水準で、ことしの最安値を更新しました。

午後5時時点の円相場は連休前の今月10日と比べて99銭、円安ドル高の1ドル=144円79銭から81銭でした。

ユーロに対しては、今月10日と比べて26銭、円安ユーロ高の1ユーロ=158円56銭から60銭でした。

ユーロはドルに対して、1ユーロ=1.0951から52ドルでした。

市場関係者は「円安が進んだ背景にはアメリカの景気は底堅いとの見方が広がったことでアメリカの長期金利が上昇したことがある。一時、1ドル=145円台前半まで円安が進んだことを受けて市場では日本政府の今後の対応にも注目が集まっている」と話しています。

円安 2週間余りで7円以上 日米の金利差拡大が背景

外国為替市場では、先月28日に日銀が長期金利の一段の上昇を容認することを決めた直後に1ドル=138円台前半まで円高が進みましたが、その後は一転して円安が進み、円相場は14日の東京市場で1ドル=145円台前半まで値下がりしました。

2週間余りで7円以上、円安が進んだことになります。

その背景には、日米の金利差が拡大するとの見方が強まったことがあります。

アメリカの長期金利は、このところ上昇傾向にありますがその要因について市場関係者は、アメリカ経済の堅調さをあらわす雇用などの経済指標が相次いで発表されたことや、原油価格の上昇によってインフレがさらに長引き、金融引き締めが継続されるという観測が強まったことをあげています。

また今月1日に大手格付け会社、「フィッチ・レーティングス」がアメリカ国債の格付けを12年ぶりに引き下げたこともアメリカの長期金利を押し上げました。

一方、日銀が長期金利の一段の上昇を容認したことで今月3日には日本の長期金利も一時、0.655%と2014年1月以来の水準まで上昇しました。

ただ、長期金利が上昇する場面で日銀が臨時の国債買い入れを実施し、金利の急激な上昇をけん制する姿勢を見せたことで、市場では、日本とアメリカの金利差がさらに拡大するとの見方が強まりこれが円安につながる形となりました。

市場の注目は政府・日銀の対応

円安が進む中、市場が注目するのは、政府・日銀の対応です。

いったいどの水準で市場介入に踏み切るのか。

多くの市場関係者が意識しているのが去年、政府・日銀が最初に市場介入を行った1ドル=145円台という水準です。

ことし6月30日におよそ7か月ぶりに1ドル=145円台まで円安が進んだ直後には、鈴木財務大臣が「行き過ぎた動きには適切に対応していく考えだ」などと発言し、円安の動きをけん制する場面もありました。

市場関係者は「日米の金利差の拡大を背景に円が売られやすい状況が続くとの見方も出ているが、市場では政府・日銀が今後どのような対応をとるのか警戒感が強まっている」と話しています。