処理水放出「説明不十分」6割 水産関係流通業者アンケート結果

福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画について、東京大学と福島大学が水産関係の流通業者にアンケートを実施したところ、海への放出に「反対」と回答した人は28.9%で、2019年に行った前回調査の66.9%と比べて大きく減りました。一方で、「国民への説明が不十分」と答える業者は6割に上り、依然として高くなっています。

トリチウムなどの放射性物質を含む処理水を、基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐっては、風評による海産物の取引価格への影響が懸念されています。

流通業者は、水揚げされた海産物の取り引き価格を決める立場で、東京大学と福島大学は、ことし6月から8月にかけて福島県内のほか、東京、大阪、名古屋、仙台の水産関係の流通業者878社にアンケートを行い、8月4日時点で、全体のおよそ17%にあたる152社から回答をえました。

同様の調査は4年前にも行っていて、今回はその結果と比較しました。

この中で、福島第一原発の処理水を海に放出する方針について、賛否を尋ねたところ、
全体では、
▽賛成が32.2%
▽反対が28.9%
▽わからないが35.5%で、
反対が前回の66.9%と比べて大きく減り、賛成が反対を上回りました。

ただ、福島県内の業者は、
▽賛成が20.8%
▽反対が50%
▽わからないが29.2%で、
依然、反対が賛成を上回っています。

また、処理水を基準以下に薄めて海に放出した場合に、福島県産の海産物を仕入れたいと思うかどうか尋ねたところ、
▽「仕入れたい」と「ある程度仕入れたい」を合わせた割合は51.9%で、
前回の37.6%に比べ、10ポイント余り高くなりました。

一方で、消費行動への影響について尋ねたところ、
▽「影響は非常に大きい」と「影響はややある」を合わせた割合は79.6%で、
前回の88.2%より10ポイント程度減ったものの、依然、高い結果になりました。

さらに、処理水について、何が問題だと思うか複数回答で尋ねた設問では、
▽「健康被害があると思うこと」は15.8%で、
前回の40.4%と比べて大きく減った一方、
▽61.2%の業者が「国民への説明が十分ではないこと」と回答しました。