高校野球 花巻東がクラーク国際に競り勝つ 雨の中断挟み

夏の全国高校野球、大会8日目の第3試合は、岩手の花巻東高校が北北海道のクラーク記念国際高校に2対1で勝ち、3回戦に進みました。

花巻東は4回、1アウトランナー三塁で、エースで4番の北條慎治投手のサードへの強い当たりがタイムリー内野安打となり、1点を先制しました。

クラーク記念国際は7回、2アウトながらランナー一塁三塁のチャンスで、キャプテンでエースの3番・新岡歩輝投手がサードへ強い当たりを打ち、相手のエラーとなって同点に追いつきました。

この後の8回、クラーク記念国際の攻撃中に激しい雨となり、試合は1時間半余り中断しました。

花巻東は試合が再開された直後の8回に、2アウト一塁二塁でキャプテンの5番・千葉柚樹選手がレフトへタイムリーヒットを打ち、1点を勝ち越しました。

花巻東が2対1で接戦を制し、3回戦に進みました。

クラーク記念国際は1回戦で完投勝利した新岡投手が140キロを超えるストレートにキレのよい変化球を織り交ぜ、花巻東の注目の強打者・佐々木麟太郎選手をノーヒットに抑えましたが、あと一歩及ばず、7年ぶりの夏の甲子園で、2勝はなりませんでした。

《両チーム 談話》

花巻東 千葉柚樹選手「チームが集中切らさず」

花巻東高校のキャプテンで8回に勝ち越しのタイムリーヒットを打った千葉柚樹選手は「雨で中断していた時間はチーム全体が集中を切らさず、試合に向けた準備をすることができました。8回の打席は、とにかくランナーをかえすように、つなげるようなバッティングを心がけていたので、打ててチームに貢献できてよかったです。次の試合もしっかり準備して勝ちきれるように対策して臨みたいです」と話していました。

花巻東 佐々木麟太郎「接戦も勝ちきれてよかった」

花巻東高校の佐々木麟太郎選手は「相手の新岡投手は、工夫していろんな角度から多彩な変化球と質のいい直球を投げるすばらしいピッチャーでした。どの打席でもヒットやフォアボールなどで次につなぐことだけを意識していました。想定していたとおりに接戦となりましたが、勝ちきれてよかったです」と話していました。

花巻東 北條慎治投手「変化球の精度よくストレートいきた」

花巻東高校の先発ピッチャーで6回まで投げて無失点に抑え、打っては4番として先制のタイムリーヒットを打った北條慎治投手は「100点ではないですが、変化球の精度もよくてそのおかげでストレートがいきた結果、無失点で抑えられたと思います。次の試合もコースへの投げ分けが大事になるので、コントロールを意識してピッチングしたいです」と話しました。

また、4回の先制タイムリーヒットについては「逆方向に打つ意識でしたが、インコースに変化球がきたので思いっきり引っ張りました。佐々木麟太郎選手が打てなくても次を打つ4番と5番でランナーをかえすという気持ちで打席に入りました」と話していました。

クラーク国際 新岡歩輝投手「佐々木選手抑えられ自信に」

2失点完投も敗れたクラーク記念国際高校のキャプテンでエース、新岡歩輝投手は「プレートを踏む位置を変えて球の軌道を相手に読まれないようにする工夫をしていました」と話しました。

対戦相手、花巻東高校の注目の強打者、佐々木麟太郎選手をノーヒットに抑えたことについては「佐々木選手を抑えられたことは、今後の自分の自信になると思いますが、試合自体は負けてしまったので悔しい思いはあります」と話していました。

強打者抑えた自信を胸に

今大会最も注目を集める強打者、佐々木麟太郎選手をノーヒット。

クラーク記念国際高校は敗れたはしたものの、キャプテンでエースの新岡歩輝投手が『変幻自在のピッチング』を存分に発揮しました。

新岡投手は、8種類あるという多彩な変化球に加え、1球ごとに投げる腕の角度やプレートを踏む位置を変えてバッターに的を絞らせない巧みなピッチングが持ち味です。

その持ち味は甲子園でも光り、1回戦ではチーム打率が4割に迫る群馬の前橋商業打線に対して9回、121球を投げ抜き1失点で完投。チームを甲子園初勝利に導きました。

2回戦の相手は岩手の花巻東高校。

高校通算140本のホームランを打っている佐々木選手は1回戦で3打数3安打と評判どおりの活躍。新岡投手が佐々木選手をどう攻略するのか、注目が集まりました。

第1打席。

新岡投手は初球、プレートの三塁側を踏んでスリークオーターで変化球を投げると、2球目はプレートの一塁側を踏んでサイドスローで投げ込みました。

その後は自信のあるストレートを続け、最後は春のセンバツで敗れてから磨いてきたという、インコース低めのストレートで空振り三振を奪いました。

このあと、佐々木選手とは3打席対戦。

いずれの打席もランナーを置いた場面で迎えましたが、球威のあるストレートや多彩な変化球を繰り出してすべて内野ゴロに打ち取り、思うようなバッティングをさせませんでした。

試合後、佐々木選手は「自分の状態はよかったのですがいろんなところからボールを投げられたうえ、攻めたピッチングをされて最後まで苦しめられました。よい経験をさせてくれて感謝したいです」と話しました。

実は青森県出身の新岡投手、小学校と中学校時代に1度ずつ佐々木選手と対戦したことがあるそうです。

3度目の対戦となった今回。

新岡投手は「磨いてきたストレートを軸に佐々木選手と真っ向勝負して一度も打たれなかったので大きな自信になりました。この経験をいかしてプロ野球選手を目指して頑張ります」と力強く話しました。

甲子園で強く印象づけた『変幻自在のピッチング』。上のステージで2人がさらに成長して対戦するのが楽しみです。